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透明人間

2007年12月26日 19:54

『ハーバート・ジョージ・ウェルズ』著 南山 宏 訳 フォア文庫 204ページ

と~うめ~い人間~現る現る~♪
透明になれたら何しよっかな。
お金盗み放題だし、好きなあの子のリコーダーも吹ける。何だってし放題っ!
こんな素敵でアホな想像を小さい頃しなかっただろうか?
いや、私は今でも、日本銀行の紙幣発行工場に潜り込んで…と作戦をめぐらせたりしている。
世の中に、大人でこの本気バカな妄想をして楽しんでいる人が、大勢いると信じて…。

人間が透明になる…このアイデアはSF小説の第一人者、ウェルズが考え出したものです。
おなじみのタイムマシン、宇宙戦争、異次元空間などは、たいていがこの人の発想の産物。
偉大な作家の割りに、あまりよく知らなかったので、今回初めて読んでみることに。

前にジュール・ヴェルヌを「空想科学小説の父」と紹介しましたが、それに似た感じ。
http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-32.html
主人公の科学者グリフィンが、透明人間になる薬を作るところなど、本格的で読んでいて楽しい。
SFはそのリアリティを出すために、細かいところまでが綿密に説明される傾向にある。
それが行き過ぎると、逆に「訳の分からなさ」が前面に押し出されてしまう。

この作品は舞台が近未来ではなく、作者の生きた1866~1946年の間くらいだろうか。
苦労して編み出した透明になる方法を、三冊のノートに暗号化して書くなど、
泥臭い、現実的な設定が読みやすく、親しみやすい。

物語は包帯で顔をぐるぐる巻きにして、オーバーを深く着込んだ男が、宿屋に泊りに来るところから始まる。
異様なその姿に村の住人は興味をそそられて仕方がない。
しばらくの間、そこへ滞在することになった男は、何やら怪しげな実験道具を持ち込んで、
昼夜問わず研究に明け暮れていた。

ある日、村に不思議な事件が起こる…。

と、ここからは想像に難くない流れになっていくのだが…。
しかし、面白いのはその現実性。透明になれるのは体だけだから、
もちろん服を着たら宙に浮いて見えるし、寒くて風邪もひきかねない。
物を食べれば消化するまでブラブラ漂っているし、怪我をすれば血が見えるようになる。

考えたら、犯罪を行うのもひと苦労。冬なら外を歩くのもままならない。
誰にも見えなくなるという事は、人間でありつつ人間でなくなるという事だ。
自分の存在もこの世から消え、話をしたくても誰にも相手にされず、気味悪がられる事になる。

そしてグリフィンは人間性を無くし、非情になっていく。
犯罪を通り越し、恐怖政治を行おうと企み始める。。。

…世紀の発見で喜びに溢れる研究者の末路が、少し哀れに思えた。
そして、科学の果ての世界も、少しだけ垣間見えたような気がする。


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