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チャンセラー号の筏

2009年11月16日 01:05

ジュール・ヴェルヌ』 榊原 晃三 訳 集英社文庫 286ページ

これも、今年に入って新装版になったもの。
カバーイラストは「気球に乗って五週間」に引き続き、別天荒人さんによるもの。

ヴェルヌの船好きが、大いに発揮されてる作品。生まれ育ったのは港町ですもんね。
トップマスト、トゲルンマスト、帆桁…と名称が出てくるものの、さっぱり分からない…。
「船の歴史事典」を本気で買いたくなった。ヴェルヌは勉強欲を書きたてる作家ですなー。

<あらすじ>
1869年、乗組員、乗客23人を乗せたチャンセラー号はアメリカを出発した。
しかし、積んでいた積荷に火災が発生。少ない空気で徐々にだが確実に火事は進行していく。
人々はギリギリまで乗船していたが、ついには筏を作り、船を捨てたのだった!

風のきまぐれに任せ、漂流する筏。刻一刻となくなる、水と食料。
「われわれの置かれているような状況にある遭難者について常に言われていることだが、
 それは本当だった。人は飢えよりも渇きに苦しむのだ。そしてまた、渇きによる死のほうが早いのだ」

極限状態まで落とされた人々は、動物性物質の帽子や、革の策具まで口に運ぶ。
そして、人間の最も野蛮な行為へも走り出すのだった。
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遭難して、飢えて、乾く…この黄金率、またも来ましたね!
ヴェルヌにしては、今回はバタバタと人が死んでいきます。
少年に読ませたいような冒険小説作家のイメージがありますが、
そういう類のものではなく、極限の人間ドラマを描くのが今回の主眼のようでした。

この作品には、実話のモデルがあり、ジェリコーが書いた「メデューズ号の筏」
影響を受けたヴェルヌが、その題材に持ってきたのだそうです。
メデューズ号は1816年にモーリタニア沖で遭難。147人の遭難者のうち、助かったのは15人。
その筏の上では、水や食料が尽きた事はもちろん、狂気や食人が横行していた。
絵画は最後の15人が助かるところを描いたものですが、子供の頃にヴェルヌはこの作品を見て、
強烈な印象を受けたそうです。そこから、この作品につながったのだとか。

日記形式で進んでいくのですが、最後らへんには日記という事を忘れてしまう。
ちょうど作品は前後に分かれ、前半が船が沈没するまで、後半が筏の漂流…という感じ。
王道ストーリーですが、この遭難につきものの要素は確実に面白いし、ヴェルヌには得意分野。
死んだ人間を釣りのエサに使うシーンなどは、胃が悪くなるような感じです。やはり見せ方が上手い。

ヴェルヌも、こういう作品を書くのだなあ…と思いました。
付き合うほどに、新しい一面を見せてくれる作家です。


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