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ハムレット

2009年09月27日 19:35

『シェイクスピア』著 福田 恆存 訳 新潮文庫 246ページ

今まで紹介してなかったのが不思議ですね。だいぶ前に読んだのを、再読したので紹介を。

<あらすじ>
デンマーク、エルノシア城。王子ハムレットは鬱々としていた。
父親である先王が死に、その弟クローディアス(ハムレットの叔父)が今は王位につき、
あろうことか先王の妃(ハムレットの母)を、喪も明けぬうちから妻に迎えたのだった。

ハムレットは夜な夜な歩廊に現れる、先王である父親の亡霊に会う。
父親は、現王が自分を暗殺し、その地位を奪ったのだということを語る。
固く復讐を誓ったハムレットは、表面上は狂態を装い、その機会を待つ。

旅の一座が演じる暗殺劇を通して、叔父の犯行を確信したハムレット。
しかし、誤って宰相ポローニアスを殺害してしまう。
ポローニアスの娘であり、ハムレットが愛していたオフィーリアはそれが基で狂死。
ポローニアスの息子、レイアーティーズはハムレットに恨みを抱き、
決闘の席で毒を仕込んだ剣により戦う。その刃にハムレットは倒れるが、
戦いの途中で剣が入れ替わり、レイアーティーズも死に絶える。
-----------------------------------------------------------------------------
四代悲劇では一番有名ですよね~。作品として一番イイのは「リア王」らしいですが。
ハムレットに関しては、非常に解釈も分かれていて、難しい作品であります。

結局のところ、憎むべきは先王を殺したクローディアス王だけなのであり、
宰相ポローニアスはじめ、母親、オフォーリア、レイアーティーズなどは、巻き込まれただけ(悲劇!)。
ハムレットは、父親に「ちゃんと復讐するからな!」と誓うものの、例の有名なセリフ、
「To be, or not to be: that is the question」(生か、死か、それが疑問だ)と、
ちょっと弱気な発言をして、狂態を演じて殺害を先延ばしにしている。
(「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」の方が有名ですかね)

ハムレットの感想を読んでいると、「ハムレットは悩みすぎ」という意見が多い。
しかし、復讐のため人を殺すのは、簡単に行えることではない。
ならば自分が死ぬべきか…と苦悩するのは、むしろ当然のことのように思える。
そういう意味で、ハムレットは全く「狂っていない」。こんな腐った世の中でいいのか、
デンマーク王国はどうなってしまうんだ、そういう嘆きを作品中にばら撒いている。

つまり、個人的な悩みだけではない。例えば、愛するオフィーリアへの言葉で有名な、
「Get thee to a nunnery!」(尼寺へ行け!)は、解釈が分かれるところだけど、
私は「あなただけは穢れないように」と、告げているように思える。
狂態を装い、一見何を意味するのか分からない言葉の裏に、ハムレットの誠実さ、愛情が溢れる見事なセリフだ。

要はかなり正義感が強く、「人間らしい」ヒーローだったという事。
ただ、最後には死に向かう覚悟もでき、復讐を遂げる。が、自らも死ぬ。
祖国はノルウェーの手に渡るしと、イイとこ無しのまさに悲劇。

こんな作品だからこそ、「俺、かなり不幸!!」という感じを出すセリフの味は大切。
福田氏はいつも「シェイクスピアは日本語にしたら、その時点で90%の美しさは死んでる」というが、
韻を踏んだり、(狂態に交えて)皮肉をいうハムレットのセリフを、なんと料理していることか。
そりゃ劇団四季でも使用しますわなー。原文知らないけど、よくぞ日本語でここまで…と思います。

今回は巻末にシェイクスピアの執筆年代と、福田氏による「シェイクスピア劇の演出」という考察が載ってました。
(私が持ってるのは改装前ので、表紙に何も絵が書いてないヤツです。今のにも載ってるのかな…?)
福田氏、すごいっす。世間のシェイクスピア論を真に受けず、自分の解釈で、しかも無理がない。
シェイクスピアの解釈なら、この人についていきたいなあ~と思わる説得力をお持ちです。


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コメント

  1. arixs | URL | -

    コメントさせてください

    私はシェイクスピアの訳なら断然小田島雄志訳!!
    なのですが・・・ここまで多くの人に訳されることも珍しいですよね。

    私は四大悲劇だったら断然『オセロー』で(卒論も主にこれで書いているところなので)『ハムレット』は正直あんまり好きではないシェイクスピア戯曲の代表となりつつあります(苦笑)

    悩めるハムレットよりも、どちらかと言えば行動派ハムレットの解釈が強まってきていますし、
    「尼寺へ~」のシーンは・・・
    どうかなぁ、母親が原因で女性不信になっていますしね。オフィーリアを愛していたのかハムレット自身も分からなくなってしまって、思わずカッとして叫んでしまった!!みたいな感じかなぁ・・。


    あと、リンクありがとうございます!
    結構悪質な嫌がらせとかリンクナシであるものですから、会員限定にしてしまっているんです。
    すみません。

  2. ひひ | URL | .mYluWXM

    正直、解釈の問題になると私も詳しくないもので、
    何とも言えないのですが、実際読むたびに印象が変わるので、
    自分でもよくわからないのが現状だったりします(笑)。
    まあ、今回は読んで、素直にそう感じた…という単純なものです。
    (これからも文学的発言はひひに期待できません)

    四代悲劇を好きな順に並べると、私は
    リア王→ハムレット→オセロー→マクベスですね~。
    突っ込みどころの多い順番に好きみたいです。
    いや、突っ込みどころが多いのは、どれも同率一位ですがw

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