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リチャード三世

2009年09月16日 23:08

『シェイクスピア』著 福田 恆存 訳 新潮文庫 202ページ

15世紀イングランドを舞台として、繰り広げられる政権争い。
シェイクスピアはエリザベス女王時代の人間だから、今でいえば、
今の日本人が時代劇を見ているようなもの。

シェイクスピアには前にも紹介したように、「○○時代」という作品の流れがあるのですが、
このリチャード三世に関しては、初期の方の作品で、時代でいえば「習作時代」。分類は「史劇」。
物語は薔薇戦争を題材にして、リチャード三世の兄、エドワードが国王に就いた後からスタートする。

<あらすじ>
せむし、びっこのグロスター公(リチャード三世)は、国王が病死するに合わせて、実兄を暗殺する。
本来であれば国王の息子である王子たちが得るはずだった権利を、
陰謀と暗殺を繰り返すことによって、ついに王権を手に入れる。

しかし、何物をも信じられなくなっているリチャード三世に臣下が付いてくるはずもなく、
ボズワースの戦いで、自らが手にかけた人々の亡霊に呪われながら死んでいくのだった。
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シェイクスピアでは、かなり悪者として描かれている。
身体的にハンディを背負っている負い目から、悪の権化となった…という、
「劣等感からくる悪」という俗っぽいものではなく、「悪」そのものを美しくさえ見せる、
奸智に長けた人物像を見事に描いている。習作時代でここまでのを描けるのは、やはり天才。
専門家によれば、後期の作品群に比べると、言い回しや構成などは劣るらしいけれど。

ここでも、福田さんの解題を一部紹介。
「リチャード三世」では、実に多くの人が死ぬ。
シェイクスピアの悲劇はもともとたくさんの人が死んでいくけど(ハムレットでは8人)、
この作品では、それが一つの「復讐」という繋がりを持っている。ヘンリー六世から王権を奪ったヨーク家。
そして、その弟が兄の王権を奪い…そして、さらにリッチモンドが…と、「復讐が復讐を呼ぶ」。
「リチャード三世はこんな悪いヤツだった」という物語ではなく、そこにあるのは「逆らえない運命の流れ」、
ということらしい…なるほど。この解説を読んでから、本篇を読めば良かった。さすが福田さん。

この作品の前に、「ヘンリー六世」(1~3部)が書かれている。
ようは薔薇戦争でヨーク家がランカスター家に勝利する時の話なので、
ちょうどリチャード三世の物語の前段階にあたる。個別でも楽しめるけれど、流れとして読むのもいいかも。

ちなみに実在のリチャード三世は、ここまで悪い人ではなかったようですね。
テレビでみるのと違って、水戸黄門は本当は筋肉隆々だった…というのに似て、
リチャード三世もイメージの固定化を図られた、可哀そうな人なのかもしれません。


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