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名犬ラッシー

2009年07月14日 22:33

『エリック=ナイト』著 飯島 淳秀 訳 講談社青い鳥文庫 347ページ

日本ではテレビドラマでその名を一躍有名にした「ラッシー」。
子供たちはアニメを心待ちにし、映画になった本数も数知れず。
特に有名なエリザベス・テイラー主演の「ラッシー・カム・ホーム」は、
以後のラッシーブームに火をつける事になった作品。

この一匹の犬の名前を知らない人は(子供は除くとして)そうそういないだろう。
頭のいい犬の代名詞としてコリーは人気を呼び、このブームに乗って、
コリー犬を飼う家庭が、一時期かなり多かったのは周知の事実だ。
それほどまでに愛された「名犬ラッシー」。子供向けの青い鳥文庫ですが、充分感動しました。

村で評判のラッシーは、毎日決まった時刻に主人のジョーを学校へ迎えに行っていた。
どんな日だろうと、それは全く変わらなかった。頭がいいだけではなく、とても美しいメス犬だった。
ジョーの父親は鉱山で工夫をしていたが、不況のあおりを受け仕事が無かった。
やむなく両親は、ラッシーを犬好きのラドリング公爵に売ってしまう。
少年と犬の平和な日々は終わってしまったのだ。

犬はヨークシャーから、北のスコットランドまで連れて行かれてしまう。
しかし、遠く離れた故郷からラッシーを呼び戻すものがあった。
「…時間だ!…少年を迎えに行く時間だ!」

自然の地形に阻まれ、どれほど叩きのめされても、本能がラッシーを家へ導き続けた。
人に飼われていた時は、なんとも美しく気品に満ちていた犬が、今や薄汚れて痩せこけていた。
行く手を阻むのは、自然でもあったが人間でもあった。
しかし、ラッシーは400マイルという道のりを少年のもとへ帰っていく。

本来はラッシーの忠実さ、頭のよさがこの作品の主眼になるのだろうけれど、少し違う視点で見れば、この作品はより面白い。
作者の生きた時代は、第一次世界大戦後の不況にあえいだ時代だった。
ジョーの両親が貧乏のためにラッシーを売ってしまったことや、死にそうなラッシーを助ける老夫婦が、
自分たちの石炭を買うお金もないのにミルクを飲ませてやること、旅の途中に戦った浮浪者…。
作品のいたるところに不況の影が見える。

人々の心がすさんでいた時代に、ラッシーを通して人間の愚かさ、優しさが色々見えてくる。
この話は、犬の物語であると同時に、人の物語でもあるのだ。
エリック=ナイトが生涯に残した作品の中で、この「名犬ラッシー」は唯一の児童向け作品。
純粋に犬の忠実さに涙する作品として、児童向けには間違いないが、
こういう背景があるとして、大人の見方もまた一つだと感じます。


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