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夜間飛行

2009年05月15日 00:00

『サン・テグジュペリ』著 堀口 大學 訳 新潮文庫 283ページ

「星の王子さま」とはガラリとイメージが変わって、
これがサン・テグジュペリの本来の作風なんだろうなあと思える作品。
「星の王子さま」が有名すぎて、これが埋もれてしまうのは非常に残念。
詩的な美しい文章が私の苦手とするところで苦労しましたが、
これを読まずして、サン・テグジュペリを語りえません。

「夜間飛行」と「南方郵便機」の短編2篇を収録。
個人的には後者の方が好きですが、有名なのは前者ですね。

サン・テグジュペリが生きた時代は、まさに飛行機械の発展期。
1930年にヨーロッパ、アフリカ、南アメリカの三大陸の空路が開たばかりで、
まだまだ商業飛行は生と死を懸けて望む仕事であった。
サン・テグジュペリ自身は幼い頃から飛行士の夢を抱いており、
飛行連隊の経験も得て、郵便飛行業へも従事している。
彼の経歴で有名なのは、リビアの砂漠に不時着した時のことだろう。
飲まず食わずで生死をさまよった4日間は作品に大きな影響を与えている。

「夜間飛行」では一人の操縦士が帰らぬ人となる。
支配人リヴィエールは、その場面へ直面しても厳粛に仕事を遂行した。
彼には冷静に判断する必要があった。飛行をする操縦士以上に、
彼の命令はつらく、責任が重いことを知ったとき、この作品の良さに気づく。

死んだ飛行士の妻がリヴィエールを訪ねてきたとき、
さすがの彼も同情心が揺らぐ。しかし、それは一瞬の出来事だった。
このシーンに関しては、もう非常に詩的で悲しい美しさに溢れています。
そしてまた、リヴィエールは次の命令を下すのだった。愛以上の義務を持って。

先日ジブリ美術館へ行ってきましたが、この本が置いてありました。
宮崎駿氏がカバー装画だったことに、その時気がつきました。
なるほど、大先生がお好きになるのも分かる作品です。


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