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変身

2009年03月03日 23:54

フランツ・カフカ』著 中井 正文 訳 角川文庫 192ページ

あまりに奇異なストーリー。最初から強くひきつけられる作品です。

<あらすじ>
グレゴールは出張販売員。朝四時に起きて、五時には家を出る。
仕事は楽ではない。家は借金を抱えており、父は引退して仕事もない。
母はぜんそく持ちで病弱。妹は17歳で、まだ子供のようなものだ。
グレゴールの収入が一家を支えていた。

ある日、いつものように朝目覚めると、グレゴールは茶色い甲虫の毒虫になっていた…。
家族は驚き、憐み、気味悪がる。しだいにグレゴールに対する家族の態度は無関心に変わり、
干からびたグレゴールは死んでいく。そして家族は解放されてピクニックにでかけるのだった。
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…どうも、この”甲虫”という表現では伝わりにくい。
カナブンとか、カブトムシの大きいのを想像すると近いかなぁ。

家族はこの虫の世話と、収入がなくなるのとで二重に負担がかかることになる。
最初は驚き、気味悪がるが、しだいにその状況に慣れ、虫の存在を疎ましく思うようになる。
ところが、当のグレゴールは話こそできないが家族の話す言葉は理解でき、考えることもできる。
彼が虫になった朝、まず考えたのは仕事のことだった。

全然驚いていないのが実にこの小説の奇妙なところ。
虫になった朝、グレゴールはタンスを頼りにすれば、立ち上がれるかな…とか冷静に考えたりする。
カフカは仕事に対して嫌悪感をかなり持ってた人だから、そこらへんの感情も反映されてるのかも。
いくらなんでも、虫になってりゃ仕事ができないという言い訳ぐらい通るだろう…的な。

虫というだけで、グレゴールが家族に対して貢献した過去が一掃されてしまっている。
父親は仕事を始めて少し若さを取り戻し、妹も仕事を始めて神経質になった。
今まで「俺が守ってやらなければ…」と思っていたグレゴールの愛情を、
まるでエゴだと言わんばかりに変わっていく家族たち…。

そして、最後には家族にとってグレゴールは不要の存在になり、
死んだあとに、ほっとした家族はピクニックへ行く…。
なんという孤独な作品だろう。おのずとカフカの家庭事情も見えてくるというもの。

正直難しい小説でした。いろんな解釈にとれるので。カフカの研究者が沢山いるのも分かります。
「ある戦いの描写」という作品も収録されていますが、こっちは私には理解できませんでした。
とても謎な作家です。読んだ後の「すげえ作品だ…」という感銘は強く残るのですが…。


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