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新諸国奇談

2008年12月27日 13:07

『阿刀田高』著 講談社文庫 322ページ

読めば読むほど、阿刀田さんはすごい!と思う。
そのタイトル通り、諸国の伝承や神話を材料にした短編小説なのだが、
その「諸国」といっても範囲が広い。

中国、ヨーロッパ、ベトナム、ロシア、ブラジル、エクアドル…などなど。
これだけ幅広い知識を得るには、並大抵の勉強では無理だと思う。
阿刀田さんがすごいのは、その一つ一つの事象に関連して、
他の物語などから共通点を見出してくる才能だ。

例え話ができるということは、物事の関連性を見つけることができるということ。
つまり、頭のいい人だと、ショーペンハウアーは言っていた。
キリストやブッダなど、カリスマ達はやたら例え話を用いる。
それに妙に説得力があるものだから、やっぱこの人スゲエ!ってなるのかも。
阿刀田さんもその能力が顕著に出てる作家で、そのせいか
エッセイなどを読んでても、話があっちこっち飛ぶ(笑)。

こういう伝承の類は、抽象的な話が多く、人によって好みは分かれる。
また、知らないよりか、知っている方が楽しめる事だって多い。
例えば「美しい眼」という話では、トロイア戦争からの帰路、
オデュッセウスが漂着した浜で遭遇する、単眼巨人のキュクロプスを題材にしている。

言い伝えの場所と、実際の位置関係を計算してみると、
現実的にはそこに漂着するのは難しいんじゃないかというところに焦点を当てて、
それを上手く題材として薄気味悪い小説を作り上げる。
阿刀田さんの博識ぶり、着眼点の鋭さが光る。

しかし、この人はほんっとに歴史とか伝承が好きなんだなあと作品を通して感じる。
長年の情報収集と、現地取材の賜物を、こうして私たちが作品を通して読めるのはありがたい。
そして、この文章の巧さ。ムダな贅肉の全くないスレンダーな文。
一日とかからずに読めてしまうが、内容の濃い一冊です。


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