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家畜人ヤプー

2007年09月26日 01:21

『沼正三』著 幻冬舎アウトロー文庫 358ページ

ブログに感想を書くべきなのか迷った一冊。
漫画にもなっているので「知ってるわ~」という人も多いかもしれない。
知らなくても「よく知らんけど、エロいやつだ~」という印象の人もいるでしょう。
まず言っておく。この本は「エロい」の一言で片づけられない。

最っっっ強のドM本であり、ドS本であり、奇想天外SFであり。
興味本位で読んだらエライ目にあうこと間違いない。

沼正三という著者から話を進める。
彼の存在は全くの謎で、出版社にも原稿は代理人を通して届けられた。
当時、SMを題材にした雑誌「奇譚クラブ」に掲載されたこの小説は、
三島由紀夫らに大絶賛され、作者はどういった人物なのかが噂された。

なにせ右翼からも左翼からも攻撃されそうな内容、
作者も老人なのか、女性なのか、権力者なのか、科学者なのか、全く謎に包まれていた。
※代理人である天野哲夫氏が本人であり、天野氏の名義での著書も出版されている。

簡単に書くと、要するに未来の世界の話なのだが…。

時は1600年ほど未来の世界、宇宙帝国『イース』では、白人帝国が成り立っていた。
黒人は奴隷として扱われ、そしてその下には、家畜と同類に黄色人(日本人)が「飼われて」いた。

その世界では黄色人は「ヤプー」と呼ばれ、人ではなく家具や、食肉、便器として「使用」され、
その用途に応じた人体改造がなされていた。

知性のある家具としてテレパスを有するヤプーは、
人(白人)が「トイレしたいな~」と心に思うだけで
主人の股の間にスルリと入り込み「食べ物を頂く」。
イースには「下水道」がない。最終的な汚水処理場は「ヤプー」であり、
ヤプーの体内には「エンジン・ワーム」と呼ばれる寄生虫がいて、
その虫がすべてを消化してしまうからである。

「そんな事して、知能をもってるのにイヤじゃないのか?」

そんな事を考えるのは、ヤプー理論を理解してないから。
ヤプーは神である人(白人)から、食べ物を直接頂けるのであり、
肉便器(セッチンという)家具に関しては、それを他の家具より誇りとしているくらいだ。

分かりやすくトイレを例にとってみたけれど、話を元に戻すと、
タイムマシンで時間旅行をしていた貴族のポーリーンは、
196×年のドイツにマシンの故障で着陸する。

日本人の麟一郎は、恋人であるドイツ人のクララと乗馬を楽しんでいた。
麟一郎が、泳ごうと裸になったところでUFOが着陸、
船内に足を踏み入れたのが運のつきだった。

途中省くが、あれやこれやでイースに行くことになった二人、
だんだんヤプー論が芽生えてくるクララと、ヤプー扱いされる麟一郎。
皮膚を強化され、二度と服を着れない体にされ、さらに去勢まで…。
また、このやり方がエグい。詳細は本編を参照されたい。

この本のすごいところは、最初に『人(白人)』と記載されていたのに、
読んでいくうちに『人』だけで白人のことのみを指すのだと、
自然に思えてしまうところ。人=白人、ヤプー=黄色人。
この感覚が勝手に植え込まれてしまっている。恐ろしい!!!

そして、そんな価値観が「そうあるべき」と自然に思えてくる。
世界観もリアルで、まるで作者が本当にその世界の住人であるような
錯覚に陥る。社会構造も将来的には科学で実現できそうだから怖い。

一つ一つの説明がくどすぎる!という批判もあるけれど、
わざわざ、文章の最後に「~議事録より」とか参考文献まで
作り上げて記載しているのだから、リアリティ抜群。
ただの、マゾヒズム小説で片づけるにはもったいないSFでもある。

日本人をこんなに腹立たせる小説は、めったにない。
けれど、それなのに人を惹きつけるこの内容に、危険な領域を垣間見てしまう。
この時、シンガポールという国で一人旅していた私は、
白人、黒人、黄色人のそろうこの地に、イース社会を少しだけ…
いや、かなり連想せずにはいられなかった。。。。


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