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水妖記(ウンディーネ)

2008年08月26日 23:41

『フリードリヒ・フーケー』著 柴田 治三郎 訳 岩波文庫 165ページ

ジロドゥの『オンディーヌ』の方が作品としては有名かもしれないけれど、原作はこっち。
ヨーロッパに古くから伝わる伝承を元にして、精霊が生き生きと描かれる。

ゲームとかでウンディーネは回復役で大活躍なんで、日本でも親しみのある精霊ですね。
聖剣伝説2ではそれはもうお世話になりました(笑)。
あーいうのって、ヨーロッパの伝承からキャラクターの名前を取ることが多いですが、
もともとはどういう形で語り継がれてきたものか、全然知りません。

水精は人間の女のような姿をしているが、魂がない。
人間の男に愛されてその妻になると、魂を持つに至る。
夫はその妻を水辺または水上で罵ってはいけない。
その禁を犯すと、妻は永久に水中に帰ってしまう。
しかし、死別ではないから、夫は他の女を娶ってはならない。
もし他の女を娶るならば、水精自身が夫の生命を奪いに現れる事になっている。

人魚姫の物語に何となく似ている。
しかし、こういった話は大概、夫が他の女を好きになってしまう。
案の定、ウンディーネは騎士フルトブラントと結婚するが、夫は彼女を捨ててしまう。

魂の無かったウンディーネには、結婚をしたことで魂を持つ事が出来た。
しかし、人間と同じ心を持つという事は、その美しさだけでなく、醜い部分も知ってしまう。
愛に悲しむことを知らなかったウンディーネだが、彼女はその苦しみも受け止めた。

フルトブラントは水上で彼女を罵り、そのため水中に妻は帰ってしまう。
愛していた夫と離れ離れになり、次第に自分のことを忘れて他の女に惹かれる夫を、
彼女は責めることはしなかった。何故なら、こうして悲しいのも魂があるからであり、
この感情を知らずにいるのは、裏切られる事よりも辛いからだ。

彼女は夢の中で夫に語りかける。
「決して他の女と結婚しないでください。でなければ、私はあなたを殺してしまいます」
一緒にいる事は出来ないが、せめてそんな悲しいことにならないように。。。

人間の意志とは脆いもので、周りの勧めがあれば、気持は儚く移ろうものだ。
ウンディーネの警告も空しく、フルトブラントはベルタルダという女性と再婚してしまう。
水中から現れたウンディーネは、泣く泣く夫を手にかける。
フルトブラントの墓の周りには、抱きしめるように水がこんこんと湧き出て、今も泉へ注いでいる。

結末がとても悲しい。人間と精霊の心の美しさの差が激しくて哀れだ。
ウンディーネはきっと、いつまでも夫を思い続けるだろう。
人間が永遠に持つ事の出来ない完全な心の美しさを、彼女は持っているかのように。
むしろ、人間が持てないからこそ、こういった物語が生まれてくるのかもしれない。
身の回りの水や土や、風や火に精霊という人の形をした命を与えて。

ドイツロマン派の幻想的で美しい物語。
日本でもミュージカルなどで公演されている。


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