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ハックルベリー・フィンの冒険(下)

2008年07月30日 22:26

『マーク・トウェイン』著 西田 実 訳 岩波文庫 268ページ

筏で何日もミシシッピ川を下っていくハックと、黒人奴隷のジム。
ひょんなことから同行することになったペテン師2人も加わって、彼らの旅は続く。

上巻の参照はこちら→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-143.html

上巻の紹介の時に、「アメリカ文学は人間性の重みが薄い」と私見を述べましたが、
下巻に入って少し違った印象を受けました。それは、作者自身の変化があったのでしょうか?
執筆に7年を要したこの作品は、大きく分けて三つの場面で構成されています。

最初は父親のもとを抜けだして、逃亡奴隷のジムと一緒に筏で旅に出たあとの数日間、
そしてのんびりやっていた2人にペテン師が加わり、その汚い金儲けの手伝いをした日々、
最後にトム・ソーヤーと協力して、捕まったジムを助ける冒険。

トム・ソーヤーがまた出てきて、どうして一緒に冒険をすることになったのかは、
本編を参照して頂くとして、この三つの場面では明らかに物語の雰囲気も変わっているし、
ハックの心の悩みとか、ジムの人情溢れる人柄とか、ハックとトムの対照的な性格などが読み取れます。
7年という「産みの苦しみ」の中で、人間味を楽しめる作風に変化しています。

最初の段階で、ハックは逃亡してきた奴隷のジムと一緒に旅をしますが、
この時代、逃亡奴隷を匿う事は重大な犯罪だったので、それを告発すべきかどうか、
ハックは深く悩みます。でも、優しいジムと一緒にいると、自由にしてやりたい気持ちになる。
そんな揺れる気持ちが表現された、人間味のある作品になっていました。

この本を読むにあたって、一番いいのはやっぱり「トム・ソーヤーの冒険」と対で読むことだと思います。
この二人、似ているようで実は正反対。

トムは色々な小説を読んで、それに憧れて自分で冒険を作り出していましたが、
ハックは実際に起こった事件に巻き込まれて、それを自分なりに頭を使って乗り切っています。
あきらかに見かけを大事にして、カッコいい冒険をしようとするトムと、
できたら事件なんか起こらずにのんびりやりたいと思うハックは、どっちかというと現実主義。

「トム・ソーヤーの冒険」は子供向けの本もたくさん出されていますが、
「ハックルベリー・フィン」の冒険は、児童書ではあまり見かけません。
私もハックの冒険は大人向けの印象を受けました。

汚いペテン師の仕事や、くだらない怨恨、せせこましい教会でのお説教と、教育。
「なんてったって筏ほどいいところはねえな」。
ハックの自由に生きる生き方は、靄が渦巻く社会生活と対照的である。
大人向けと思える所以は、ハックが文字を通して読む私たちに、
その安堵感溢れる筏へ乗せてくれるような気がするからだ。


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