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神秘の島 第一部

2008年07月10日 21:13

『ジュール・ヴェルヌ』著 大友 徳明 訳 偕成社文庫 394ページ

5人の人間と1匹の犬を乗せた気球が、嵐に吹かれて太平洋をさまよっていた。
気球のガスは抜ける一方で、高度はぐんぐん下がってくる。
乗組員たちは荷物を一切合財投げ捨てて、どうにか陸が見つかるまで、
この乗り物が持ちこたえるように努めていた。

そして、海面から150メートルも降下したところで、犬が吠えた。
「陸だ!陸地だ!」誰かが叫んだ。
まだ数キロ先ではあるけれど、そこには確かに陸地が見えていたのだった。

勇気を貰いたい時はヴェルヌを読むに限ります。
本当に面白くて、わくわくして、夢中になれる物語です。

アメリカ南北戦争で捕虜になっていた男たちは、ある日気球で脱走を試みる。
しかし、風に流されてたどり着いたのは、人影がまったく見当たらない無人島。
気球を軽くするために、何もかもを捨ててしまった男たちは、文明的なものは何も持たずに上陸する。

島を開拓していく男たちは、まず中心を担うサイラス・スミス技師。
ヴェルヌ小説にはこういった教養が高く、勇気があって、無限の信頼を置けるリーダー核が存在する。
そして、彼の友人のジェデオン・スピレット。彼は南北戦争の記事を壮絶な戦場で書いていた、これまた相当勇敢な記者。
サイラスの元黒人奴隷であったナブは、奴隷解放論者であったサイラスに自由の身にされてからも主人を慕い、離れる事はなかった。
そして、水夫のペンクロフ。捕虜という訳ではなかったが、彼も戦争で足止めを食らった一人だった。
最後がペンクロフの船長にあたる人の子供ハーバート。孤児で今はペンクロフに育てられている。博物学に詳しい教養の高い少年だ。
この5人と、サイラスの優秀な飼い犬トップで、サバイバルな生活が始まる。

イメージとしては十五少年漂流記の大人版。
あれは、船で遭難して孤島に流れ着くけれど、船に載せていた食糧や銃、道具類がある。
しかし、全く何もない状態でこの開拓者たちは始めなければならない。

人間がこのように文明からいきなり切り離された状態に置かれたら、
まず何をしなければいけないだろうか。そう、水の確保、食べ物の確保、寝る場所の確保だ。
水は川が流れているから、そこで飲み水を調達できる。そして最初の食べ物といえば、
海岸の岩にこびりついている貝だった。寝る場所に関しては、偶然見つけた岩の間が風を防げる場所だ。
しかし、ここには料理に使ったり、暖を取るための火がない。これは重要な問題だった。

火打ち石や、木をこすり合わせるという原始的な方法で火をおこすしかないのか?
たった一本だけ見つかったマッチをこする時の緊張感。たったあれっぽっちの物のありがたさを痛感する。

サイラス・スミスは技師であり、鉱物学者であり、科学者であった。
みんな彼に出来ないものはないかと思われるほどだった。彼の指示で確実に島は開拓されていったし、
火をつけるのにも、懐中時計のガラスの間に水をいれ、太陽光を集めて簡単に火を作ってしまった。
そして、生活するにつけ必要となるレンガを粘土で精製し、窯を作り、アザラシの皮で作ったふいごで
島にあった鉄鉱石から鉄を生成する。こうして徐々に開拓者たちは、斧やつるはしなどの道具類を、
ジュゴンの脂肪からロウソクを、また科学の応用を使ってグリセリンまで生成した。

グリセリンで硬い岩を爆発させ、天然の岩の空洞を発見した五人は、そこに住むこととし、
「グラニット・ハウス」と名付けた。そこは風除けや冬の寒さにもぴったりの、まさに理想の住まいだった。

サイラスの感嘆すべき発明は、紹介するときりがない。
ヴェルヌが「空想科学小説の父」と言われる要素が、十二分に詰まった作品。
第二部に向けて、何故このタイトルが「神秘の島」なのかという伏線も張られている。
本当に目が離せない。電車を危うく乗り過ごしてしまいそうになるほど熱中してしまった作品です。


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