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コーランを知っていますか

2008年07月08日 23:11

『阿刀田 高』著 新潮文庫 375ページ

キリストの生涯といえば、宗教に興味のある方ならよく知っているだろう。
それは、キリスト教の聖典のひとつ、新約聖書にその物語が記されているからだ。
同じような聖典として、イスラム教にもコーランがある。
毎年9月になると、ラマダン月といって断食の季節があるけれど、
その時にイスラム教徒がコーランを黙々と読んでいる姿が新聞にも載っていますね。
月の満ち欠けを見て、急に始まり、金融機関もストップするとかで、
イスラム教徒でない人間からしたらビックリ。

そのコーランを日本人観点で分かりやすく解説したのが、今回の阿刀田さんの解説書シリーズ。
シェイクスピア、新・旧約聖書、ギリシャ神話、神曲…と、これまで色々読んできましたが、
今回のは少し様相が違うような感じがします。

それというのも、コーランは先に述べたように、キリストの生涯を追ったような物語形式ではなく、
マホメットが唯一神アラーから受けた啓示を綴ったものであって、基本的に神の一人称で、
どれだけ神が寛容で慈悲深いか、多神教や偶像崇拝について恐ろしい罰を下すか、
そういったことが語られていく形式である。

新・旧約聖書なんて、そのストーリー性が面白いので、それだけで一つの読み物として
充分通用するけれど、コーランは全体を通してストーリーのあるものは10~20ほどだそう。
そういった訳で、今回の解説書は、マホメットの生涯を中心に、イスラム教全体の決まりや社会情勢、
男女の関係や、昨今のサウジアラビアの観光など、幅広く取り上げられている。

意外だったのは、イスラム教とキリスト教、ユダヤ教はもともと一つの宗教であるという考え方。
コーランには、イエスも出てくるし、もっと前のダビデやソロモン、アブラハムやノアといった
名だたるメンバーの名前も出てくる。これはいったいどういう事なのか?

イスラム教徒からしてみれば、これらの聖人達は、最初からアラーが遣わした預言者たちであり、
マホメットが最後に遣わされたのであるという。つまり、イエスもアラーが遣わしたのであり、
最初から唯一の神はアラーだけだったのだという考え方。
キリスト教徒からしてみれば、「コーランは私たちのいいとこばかり取って」と思うだろうが、
「何言ってんの、真実は一つ。アラーはすべてお見通しなのよ」というところ。
だから、イスラム教徒はキリスト教徒と結婚することは平気だけど、多神教の国、例えば
我々日本人はNGということらしい。これだけ宗教戦争をしているのだから、
なんだか首をかしげてしまうけれど、イスラム教の多数派であるスンニ派は比較的穏健なんだとか。

イスラム原理主義といわれる過激派は、主に少数派のシーア派で、
それでもその中の一部に限られているようだから、イスラム教全体を怖い宗教とみなしてしまうのはいけない。
すでに人口の25%を占めてきているイスラム教は、これからのグローバル社会で
無くてはならないところまで来ている。これらのことや、男尊女卑の問題も含め、今後の課題は山積みである。

ところで、色々と紹介されている中でも面白かったのは、礼拝の事。
法学部だった私は、一度刑務所見学というのに参加した事があるのですが、
日本で罪を犯したイスラム教徒の独房には、なんと絨毯がひいてありました。
一日5回の礼拝が行われ、メッカの方を向いて祈る際に必要な絨毯が、
イスラム教徒には支給されるという。しかも、イスラム教で禁止されている豚肉は、
特別に他の囚人たちと違うメニューで作られるというのだから、手厚い。

話がそれてしまったけれど、この礼拝の時に必ず唱えるのが、
「アラーの他に神はなし。マホメットはアラーの使徒である」という言葉。
コーランはアラビア語で詠唱すると、一種の歌のように聞こえてとても美しいらしい。
この言葉をアラビア語でぜひ聴きたいものです。

他にも、前に「イスラム金融入門」で触れましたが、イスラム金融は利子をとらない銀行取引をします。
イスラム法でそう決まっているから…としか分からなかったのですが、その原因が分かりました。
宗教の決まりには多くが歴史的背景があるものですが、この時アラブ人達の悩みの種だったのが、
ユダヤ人による高利貸しだったとか。なるほど、シェイクスピアのヴェニスの商人でもありましたね。
こういったことを踏まえて、アラーの啓示という形で、マホメットは利子取引そのものを廃止しようとしたのでしょうね。

今まで千夜一夜物語を始めとして、いくつかイスラム教の話を読んできましたが、
知っていると知っていないで随分と理解の幅があることが分かりました。
コーランの入門書ということではなく、こうしてイスラム世界がグローバルに浸透してきている今、
イスラム教の異文化を知るために、阿刀田さんの本はとても役に立つと思います。


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