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ビルマの竪琴

2008年03月25日 19:43

『竹山道雄』著 ポプラ社文庫 254ページ

今年に入った2月、新聞にこんなニュースが出ていた。
「映画監督、市川崑さんが肺炎のため、東京都内の病院で死去」
毎年のようにやってる金田一シリーズの「犬神家の一族」を始め、テレビでは「水戸黄門」など、
数々の名作を残してきた市川さんが亡くなられたニュースに、朝から驚かれた方も多かったのではないでしょうか?
そんな私は正直なところを言うと、市川さんの作品を全くもって、いやそれはもう申し訳ないほどに観ていないので、
ここで遺影を偲ぶ資格も無いのです。もちろん「ビルマの竪琴」が市川さんの作品だという事も知りませんでした。

なので、そんなにショックも受けずに会社に出向いたわけですが、社内では話題になっていました。
ほうほう、そんなに凄い人が亡くなったのですか。これは話についていけなくてはいかん。
どんな作品があるのかな。パソコンですぐに主要新聞社のニュースが拾える仕事上の特権を利用して調べてみると、
「ビルマの竪琴」でアカデミー賞云々…。ん?ビルマの竪琴なら家にあったような気がするぞ…。
案の定、去年のクリスマスのプレゼントにもらった古本群の中にありました。
日本文学だからなあー。いつもの苦手先入観が入り、引いてしまったものの、
最初の軍艦に乗って帰国した日本兵が合唱している場面が特異に見えたので、何と無く読み進めてみました。

場面は3章。1章は歌う事が好きな日本部隊があり、ビルマ(ミャンマー)からシャム(タイ)へ敗走しているシーンから始まります。
彼らの作戦は、部隊の中でも竪琴の上手な水島上等兵にビルマ僧の姿をさせ、
進行方向の安全を、そのかき鳴らす竪琴の音で知らせるというものでした。
水島はビルマ人に顔立ちが似ており、怪しまれることなく進むことができたからでした。

国境を超えるのが間近に迫ったとき、彼らはイギリス兵に取り囲まれます。
しかし、彼らは「はにゅうの宿」の歌を歌う事で、イギリス兵の心を和ませ、そして終戦になったことを知ります。

2章は捕虜になってからの生活です。しかし、まだあちこちに日本の残兵が残っており、戦闘は終わっていないとの事でした。
水島はこの残兵達を説得する役を買って出て、再び戦場へ出かけていきます。しかし、彼はなかなか帰ってきませんでした。
抵抗していた日本兵も、降参したという情報は入ったものの、肝心の水島だけは収容所へ帰ってこないのです。
みんなは心配して待ちわびました。

そんなある日、水島に瓜二つのビルマ僧と隊員たちはすれ違います…。
あれは水島なのか?ならばどうして戻ってこないのだ?一緒に日本に帰ろう。
みんな切実に日本に帰りたがっています。帰って国のために尽くして働こう。そう一緒に誓い合った仲だったのです。
日本に帰る前日、彼らは収容所の柵の中で、声の限り「はにゅうの宿」を歌います。
すると、くだんのビルマ僧はいつも水島がかき鳴らしていた懐かしい竪琴を弾いたのでした。

3章では、ついに捕虜生活も終わりを迎えた隊員たちが、日本に帰るところです。
あの僧は水島には違いなかった。しかし、彼は日本に帰らずビルマに残る決心をした。
その理由は何か?隊員たちにあてられた一通の手紙にその一部始終が書き留められてありました。

…この後に語られる水島の決心も心を打つものがありますが、どうして彼がビルマに残る必要があったのか、
その根本を考えた時に、やっぱり戦争があったから、という結論になるのだなと私は思います。

作品の中で、ビルマは未発達で不潔で不便で、学問や労働によってひとり立ちになろうという意思のない国民が多数であるという事が語られます。
しかし、はたしてそれが悪いのでしょうか。文明の利器を持つことが大切なのではなくて、それを扱う人間がどうあるべきなのか。
水島が残兵に降参を勧めに行ったとき、死ぬのは怖くない、日本のために立派に最後まで戦うと豪語した日本兵達。
彼らは発達した人間といえるのか?

戦争に対して経験のない自分たちに対しても訴えるように響く作品だと思います。
誰しもがこういう作品を読んで感動を経験したなら、戦争なんて起こらないと思うんですが。
悲しいかな、憎しみが憎しみを生む連鎖は止まらない。
どうすればいいんでしょうね、市川さん。


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