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ロマノフ朝最後の皇女 アナスタシアのアルバム -その生活の記録

2008年02月28日 22:47

『ヒュー・ブルスター』著 河津 千代 訳 リブリオ出版 64ページ

ロシア革命とは封建的専制政治体制を原因として勃発した革命。
猿でもできる説明を終えたところで、自分があんまり分かってないのを白状します。すいません。
ロマノフ朝最後の皇女、アナスタシアの事件は有名ですね。死んだと思われていたアナスタシアが、
のちに「私です」といきなり登場し、本当かどうか問題となった事件です。
結局は偽物という事で一件落着したようですが、ちょっと本物であって欲しかったというのも正直なところです。

近代の国家が専制政治から民主主義へ移行する動きは、皇帝であろうとも時代に逆行する事はできず、
フランス革命同様、皇帝一家は死んでしまう運命にあるのです。
「皇帝は悪い!」そんなイメージの強い革命ですが、皇帝側から見た家庭には、
必ずしも特別ではない普通の親子愛に溢れた空間がありました。

アナスタシアは、アレクサンドラ王妃の第4皇女として生を受けました。
4人続けて女の子が生まれた事に、皇帝ニコライ2世は落胆しましたが、
その後皇太子アレクセイも生まれ、5人兄弟は仲良く過ごしていました。

アナスタシアは芸術センスのある子供で、写真を撮り、それに装飾を施したり、絵を描いたりするのが得意でした。
彼女が父親や先生に送った手紙は、愛情に溢れて生き生きしています。
革命勃発によって、シベリアへ送還された皇帝一家は、その後射殺されます。
アナスタシアとその姉妹は、林の奥で同じく射殺されているのが見つかりました。

悲しいのは皇帝の側、市民の側、どちらも非難できない事です。
いくらこういう本を読んで、アナスタシアの純粋さに打たれても、
一方では餓死していく子供たちを、ただ見ている事しかできない貧しい市民がいたことも事実なのだから。
いつの時代も犠牲になるのは子供たちで心が痛みます。

アマゾンでも5つ星の評価と高い本で、貸してくれた友達もお薦めの一冊です。
非常に簡単に書いてあって、アナスタシアが撮った写真が溢れています。
通常であれば見ることのできない皇帝一家の暮らしぶりが、よく分かります。


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ロミオとジュリエット

2008年02月26日 23:00

『シェイクスピア』著 中野 好夫 訳 新潮文庫 267ページ

某友人は藤原達也のファンでして、彼の演劇のDVDは私も何度か観せてもらった事があります。
ロミオとジュリエットもその内の一つなんですが、若々しさに溢れた作品で、
3時間という長丁場をよくあのテンションで保っていけるなと感心しました。

ロミジュリには私も想い入れがありまして、高校時代最後の文化祭を、
脚本兼パリス役で出演しました。宝塚の台本があったので、それを元にした脚本でしたが、
30分という短い中で、どう縮めりゃいいのよ!?と奮闘しましたが、結局50分オーバーで大ブーイング(笑)。

シェイクスピアの演劇はセリフが美しいのが特徴ですが、その長さも大したもの。
当時の舞台装置が今のように屋内ではなく、青空のもとでセットされた事に関係しているようです。
昼間に真夜中のシーンを演じたりする必要性から、各章冒頭に背景や時間を説明する言葉を入れる必要があったとか。
高校程度の文化祭なら背景も陳腐そのもの。条件的に似通っているためか、削るに削れないセリフが多かったのを覚えています。

そうした思い出から、今回読んだ中野氏の翻訳は非常におもしろかったです。
四大悲劇を読んだ時は、その情景が分からずに終わってしまいましたが、今回は
「ああ、このセリフはこんな風に言うんだな」とか、
「ここで二人は固く抱き合うんだった」とか、
頭の中でロミオとジュリエットが走り回っていました。

内容はディカプリオさんが映画でやってたので、シェイクスピア作品の中では一番有名ではないでしょうか?
ヴェロナの街を舞台にして、互いに憎み合う一族がありました。
モンタギューとキャピュレット。名高い両家は何かというといがみ合い、
騒動を起こし、街を治める大公は「今後このような騒動があれば、即刻死刑を申し渡す」と言いつける。

恋する男ロミオは、ロザリンドへの届かぬ想いに悩み苦しんでいた。
友人の誘いでキャピュレット家の宴会に忍び込んだロミオは、そこでジュリエットと出会う。
一目で恋に落ち、熱い口付を交わす二人。

しかし、たった一つの愛は、たった一つの憎しみから生まれたものだった。
ロミオはモンタギュー家の一人息子。
ジュリエットは宿敵キャピュレット家の一人娘。
運命に弄ばれる二人の恋人は、人目を忍んでバルコニーで愛を語り合う。
「ああ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」

これをきっかけにして、両家の間に横たわる憎しみを取り払えるかもしれない。
僧ロレンスはひっそりと二人を結婚させる。しかし、二人が神の前で結ばれた数時間後、
ロミオの友人マキューシオが、ジュリエットの従兄ティボルトに殺される。
怒りに駆られたロミオはティボルトを殺し、その場から逃げ去る。
事情を聞いた大公は、ロミオを追放とし、ヴェロナの街で見かけた場合は即刻死刑にすると申し渡した。

絶望にくれるロミオとジュリエット。そんな中、彼女の苦しみを払拭するため、
父親のキャピュレットはパリスとの結婚を早める事にする。
重婚に抵抗するジュリエットだったが、どうにも回避できないと分かると、
ロレンスに自殺を打ち明ける。その覚悟を聞いたロレンスは、強力な眠り薬を彼女に手渡し、
「これを飲みなさい。仮死状態になって、あなたは墓場に入れられるだろう。
 私はロミオに手紙を書き、その事を知らせておく。目覚めたところを二人で街を抜け出すがよい」
と、妙案を思い付く。

喜んでその作戦に乗るジュリエットだったが、ロミオへ宛てた手紙は不慮の事故で届かず、
ジュリエットが死んだと思いこんだロミオは、彼女の墓場で自分も後を追おうとヴェロナへ戻ってくる…。

情熱だけで死へと突き進む姿は、美しいけれど理解しがたいものがあります。
自分は絶対に死なないし、死んだら何にもならないと思うしなあ…。しかし、最後の大公の言葉で、
「世に不幸な物語も数々あるが、このロミオとジュリエットの物語、それにまさるものがまたとあるであろうか?」
というのがあります。本当にその言葉が胸に迫ります。

いつも福田さんの翻訳が多いのですが、中野さんの手腕も凄いです。
本人は「絶望してペンを止めたこともあった」とおっしゃるくらい、翻訳には苦労なされたようですが、
私はすばらしい翻訳になっていると思います。
一度舞台を見たことのある人も、無い人も、ぜひお薦めしたい一冊です。


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幸せの記憶(上)

2008年02月24日 22:32

『ダニエル・スティール』著 天馬 龍行 訳 アカデミー出版 358ページ

非常に女性らしい作品です。読んでいるこっちがこっぱずかしくなる程、
甘い言葉のフルコースです。どうぞ、ご勝手に二人の世界に入ってて下さいって感じ(笑)。
女性の恋する瞬間って、女性にしか描けないんじゃないかと思います。
間の取り方、見つめ合うだけで通じ合う「アノ」気持ちって、女性が一番「恋してる」って酔える時ですもんね。
ははは~、懐かしいなあ…(遠い眼)。

前置きの通り、今回は恋愛ものには違いないんですが、
甘ったるいだけのラブストーリーではありません。

人間、他人の不幸は楽しいもの。いわゆる「昼ドラ」がそれとなく人気があるのも、
ひとえにこういった人間の潜在意識が関係しているというデータも出ているくらいです。
(ひひ総合研究所 2008年主婦環境調査結果より)
さて、その傾向は国境を越えても変わらないようです。

時代は第二次世界大戦後のイタリア。アメリカ占領軍が闊歩するローマの街。
アメリカ軍人とイタリア娘が一時の感情に任せ、恋愛に花を咲かせる。
戦後よくある恋物語の一編を描いた作品だが、一つだけ違う事がある。
そのイタリア娘は由緒あるサン・ティバルド王女の名を継承する女性、
セレナ・アレッサンドラ・グラシェレラその人という事だった。

一文無しの王女、天涯孤独の王女。あるのは王女の名誉と、豊かだったころの記憶。
彼女に与えられたのは、かつて自分の住んでいた宮殿の床掃除の仕事だった。
しかし、彼女の高貴さは、その身からほとばしっていた。

セレナはアメリカ軍人のブラッドと恋に落ちる。幸せな日々が続いた。
幸せすぎる毎日だった。そして、ブラッドの故郷ニューヨークへ帰る時が来た。
その時、彼女に突きつけられた現実は、自分は得体のしれない敗戦国のイタリア娘という事だった。

こういった場合の設定として考えられるベスト3を挙げるとすれば…
1.気の強い母親が結婚に猛反対(「息子のためを思って」というセリフをよく用いる)。
2.彼には金持ち令嬢の婚約者がいる(性格悪い)。
3.夫の「俺が守るから」という言葉はアテにならない。

はい、全部ドンピシャで当てはまります、おめでとう!
…昼ドラやん!甘い夢を見せておいて、ドロドロのどん底へ猛ダッシュ。
上巻はアメリカへ帰ったブラッドとセレナが、母親のマーガレットをはじめ、夫の家族にのけ者にされる辺りまで。
元々、婚約者だった女性のパティは、ブラッドに振られた復讐に、その弟のグレッグに求婚する。
う~ん、何か嫌な予感…。
唯一味方になってくれたのは、末弟のテッドだった。

さて、どうなることやら。二巻が異様に分厚いのを見て、色々な意味で期待が高まる私です。


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緋色の研究

2008年02月19日 19:37

『コナン・ドイル』著 延原 謙 訳 新潮文庫 205ページ

シャーロック・ホームズ。職業、顧問探偵。身体的特徴は6フィートと長身だが、細身。
鷲鼻、角ばった顎。見かけによらず武術に精通、侮りがたし。
その他の特徴、ヘビースモーカー、バイオリン演奏を巧みにこなす。
だが、曲目についてはいささか無名のものが多く、おそらくはその時の思考内容をそのまま楽曲にしていると思われる。
文学の知識、皆無。哲学の知識、皆無。天文学の知識、皆無。政治学の知識、わずか。
植物の知識、アヘン、毒物については詳しい。ガーデニング知識無し。
地質学の知識、一見で土の違いを当てる事が可能。科学の知識、深淵。…etc。

シャーロック・ホームズの特徴を挙げれば、だいたいこんなものだろうか。
むっつりと何時間も黙ったまま、椅子に座って考え事をしていることもあれば、気分よく話しまくる事もある。
昼夜を徹して何かの実験にいそしんでいる事もあり、そうかと思えば何もせずボーっとしている事もある。
変人の魅力というのだろうか。彼に惹かれずにはいられない。
とにかく、ホームズは格好いいのだ。

記念すべき、シャーロック・ホームズ第一弾。
発表当初は注目されず、作者のコナン・ドイル氏は「も~、ホームズなんて書かねえぞ~!」と思ったそうですが、
その後、アメリカの出版社からお声がかかり、第二弾を書く事になったのです。
アメリカ人は、ホームズを世に出したのは自分たちじゃい!と胸を張って言うそうですが、
そうですね~それくらい誇ってもいいと思います。永久にホームズが忘れ去られていたよりかは。

さて、今はもうお馴染みの助手ワトスン博士ですが、彼とホームズが知り合い、共同生活を始めるいきさつも分かります。
とある研究室を訪れたワトスンは、いきなり「ついに完成したよ!ひゃほ~い」と狂喜している変な人(笑)に出会います。
彼こそは、今しがた血液反応を正確に知ることができる新薬を発明したばかりのホームズだったのです。
しかし、その喜びようといったら、女性から見れば可愛いのなんの。

「は、は、は~!どんなもんです~!」
手を絆創膏だらけにして得意げに微笑む彼は、
どことなく母性本能をくすぐるものがあります。

最初は、このへんちくりんな男と住むことをなんとも思っていなかったワトスンですが、次第に彼の仕事に興味を持ち始めます。
たま~に、お客が来たかと思うと、自分は気を利かせて部屋を出るのですが、何か家で書類を作っているわけでもないし、
する事といえばそのお客を出迎えることと、何かの実験と、バイオリンを弾いてるのと…フラッといなくなるくらい。

そんなある日、観察力のもたらす力についての新聞記事を読んだワトスンは、「ばからしい!」と批判する。
「いや、それ、僕が書いたんだけど」ホームズはそこで初めて、自分は顧問探偵であることを明かす。
初めこそ彼の突拍子もない推理に疑いの目をかけていたワトスンだったが、次第に彼の度肝を抜く推察力に、興味を覚えだします。

そして、ある事件にワトスンも同伴してついていくことにするのですが、全くもってそれは不可解な事件の始まりだった。
外傷のない死体。なのに血で書かれた文字。さっそく虫眼鏡を覗きながら観察を始めるホームズ。
急展開で進んでいくストーリーで、気がついたら読み終えています。
後に残るのは、他のシリーズも読みたい!という燃えるようなもどかしさでした。

ヘビー級にお薦めです。


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ミルドレッドの魔女学校3 どじ魔女ミルの大てがら

2008年02月16日 01:09

『ジル・マーフィ』著・絵 松川 真弓 訳 評論社 143ページ

もうお馴染みのドジ魔女ミルも、2年生になりました。
いやいや、なれましたという方が正しいかな?

一巻参照→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-50.html
二巻参照→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-55.html

魔女学校の新学期は冬から始まります。
ミルドレッドは珍しく早めに学校へやってきました。
(というのも、新学期そうそう問題児扱いになりたくないため)
親友のモード、それにイーニッドも加わって、3人で再びハチャメチャ学園生活の始まりです。

先輩になったことで、ちょっと気取り気味のミルドレッド。
怯える新入生を見て、慰めるつもりが、恐ろしく怖いハードブルーム先生の作り話をしたばっかりに、
よけい怖がらせてしまう事に…。また、それが意地悪なエセルの妹だったから、さあ大変。
今回も話がややこしくなりそう。

話題のHB(ハードブルーム先生のあだ名)に、今回のミルドレッドも大変なことをしてしまいます。
火災訓練の煙を消そうとして(本当はHBが魔法で演出のために出した、見せかけの煙だったのですが…)、
投げたバケツが見事HBの頭にストラーイクッ!
しかし、そこは鉄の女HBの事、はちかづき姫よろしく、
バケツをかぶったまま腕を組んで、微動だにせず。さすが先生。

そんなこんなで、やっぱり失敗ばかり。
エセルはここぞとばかり嫌味を言い、妹を馬鹿にした仕返しをします。
ところで、第一巻でエセルがブタに変えられたことを、読んだ方は覚えてらっしゃいますか?
そう、ミルドレッドが成功した魔法のひとつです。(どうでも良い時に限って成功するんです)
もちろんエセルはその時の事を忘れてはいませんでした。
叱られて落ち込んでいるミルドレッドの部屋へ忍び込んで、魔法を少々…。

目が覚めたミルドレッドはびっくり。
ケロケロケロ…あらら、私こんな声だったかしら?
そう、カエルになっていたのです!

エセルの仕業だわ!どうしよう…。
ところが、それが運命のイタズラで、とある人と知り合うきっかけになって…。

昔、これを読んだ時に、結末が面白くて印象に残っていました。
「ぐりとぐらのパンケーキ」って絵本ご存じですか?
あれを読むとパンケーキが食べたくなりますよね?
ちょっとその感覚に似た事が起こります(笑)。
もちろん、大人になった今でも起こりましたよ。
本の力ってすごいですね。


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犬になりたくなかった犬

2008年02月11日 23:47

『ファーレイ・モウワット』著 角 邦雄 訳 文春文庫 235ページ

私事ですが…6年前、我が家では犬を飼っていました。
小学生時代のある日、近所の兄ちゃんが「子犬いらない?」ところころした雑種を連れてきました。
子供が無思慮にもらってきた犬を、母親が「返してきなさい!」と怒るパターンが普通ですが、
不運にも私の家は片親で、父は帰りが遅く、兄は7歳離れているため、クラブやらバイトやらであんまり顔を合わさないといった状態でした。
そんな成行きで家族の仲間入りを果たした犬は、「テル」ちゃんと名づけられ、いじくりたおす私にめげず、すくすくと成長してくれました。

典型的な鍵っ子だった私は、家族の帰宅を待つ間、この犬と時間を過ごすことが多くなりました。
今思えば、心の慰めとなったばかりか、数えきれない思い出を与えてくれた家族でした。
子供の教育上、動物の飼うのはとてもいいそうですね。思いやりとか、命の大切さとか、学ぶことが多いですもんね。
この作品も、家族と犬の心温まる関係を描いた作品ですが、それがちょっと変わっています。

主人公?の雑種マットは、犬でありながら、犬になりたくなかったらしい。
…かといって人間になりたい訳でもなく、どちらかというと犬の人生では納得しない、自分は自分の道を行く!といった感じ。
なぜかど近眼で、自分の嫌なことは誰であろうと断固反対し、犬同士の喧嘩にも我関せず。
しまいには、梯子や木に登ったりする。
梯子に登っちゃ悪いっていうの?いえいえ、犬になりたくなかった犬なんだから、しょうがありません。

家族はそんなマットの変な行動には慣れっこになってしまい、最初は理解できなかったものの、
「それは彼にとって何か意味のある事なんだろう」と思うようになる。
我が道を行くマットの自由奔放さがほほえましくもあったり、羨ましくもあったり。
また、その家のお父さんが愉快な人。砂だらけの土地に越してきたのに船乗りにあこがれて、船を造ってしまう。
しまいには、それで川を下って旅行を始める。マットはマットで、船の守り神よろしく船首で胸を張ったりしてる。
そんなはちゃめちゃ家族だから、マットについていけたのかも。

カナダの雄大な自然を背景に語られていくけれど、残念ながら私の想像力では追いつかない部分が多くて、
その素晴らしさの半分も享受できてないと思う。
けれど、カントリー要素だけは充分に伝わってきました。
後半では、マットにライバルが登場します。その彼、フクロウのウォルとの白熱の闘いは、面白さ満点。
やたらと自尊心の高いマットだから、よけいに笑えます。

犬を飼った事がある人なら、マットの行動が目に浮かぶと思いますよ。


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空が落ちる(下)

2008年02月07日 20:28

『シドニィ・シェルダン』著 天馬 龍行 訳 アカデミー出版 323ページ

シドニィ・シェルダン氏が亡くなったのはごく最近の事ですが、素晴らしい作家をなくしたんだなあと実感します。
日本では大々的なニュースにはなりませんでしたが、ファンにとっては衝撃的だったと思います。
こうして今、彼の作品を読んでいると、その時のショックがよみがえる想いです。

前回までのあらすじはこちら→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-60.html

ダナはタイラー・ウィンスロープに関する調査を続けていた。
聖人君子の皮が剥がれ始め、金で事件をもみ消した跡が次第に明らかになっていく。
しかし、犯人は特定できず、容疑者は増えるばかり。ダナは行き詰まりを感じていた。
そんな彼女をマークしている何者かは、確実に彼女を始末できる準備を進めていた。

タイラーがアメリカの駐ロシア大使として仕事をしていた事に興味を持ったダナは、その事で調査するためモスクワへ飛んだ。
タイラーが残したという「最後の空白が埋まった」という言葉と、「ロシア企画」というキーワード。
その真相を探った結果、ダナが目にした事は、とてつもない裏社会だった!

想像していたのをはるかに上回るスケールでびっくり。
後半になるにつれて、アメリカ的に緊張感が加速していく。
読んでいる時の私の眼は、きっと充血して見開いていたでしょう。

絶体絶命の緊迫感、裏切りの連続。
危ない、ダナ~!!早く逃げて~~!!心臓に悪いですね、この本は。
有名どころと比べてしまうと、ちょっと物足りないな~と上巻では思っていましたが、
そこはやっぱりシェルダン氏。油断できません。おじいちゃんが、
こんな切迫したストーリーを書いていたなんて、ちょっと信じられません。

読書嫌いの友達が「何か私にも読める本ない?」と聞いてきたら、
私は迷わず彼の作品を薦めることにしています。


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詭弁の話術 即応する頭の回転

2008年02月05日 22:20

『阿刀田高』著 角川文庫 269ページ

中国製ギョーザが問題になって日も浅い今日この頃ですが…。
本日(2/5)の日経新聞朝刊に「これ食べたらあきません」ってなJTの広告が載ってました。

中華料理って、【本場中国】と載ってるだけで、なんで美味しそうに見えるんでしょう。
子供が粘土遊びよろしく作ってるギョーザかもしれません。
それでも【本場中国】。いや、むしろ本場過ぎる中国になっちゃうんですよねえ?
世の中って詭弁に満ちてるんだなあ~と思いますよ。

さて、今回の阿刀田さんは~?(来週のサザエさんは~?ばりに)
ん?ちょっと堅いめの文章かな?と思ったら(と言っても、他の作家さんに比べれば充分崩れていますが)、
随分前の作品らしく、ご本人も「頑張ってるなあ~」と、振り返っておられます。

確かに世の中詭弁だらけで、むしろもう詭弁しかないんじゃないのか?と思えるほどですが、
そこに焦点を当てて一つの作品にできちゃうのは、スゴイですね。
それにしても、阿刀田さんと詭弁って…どんな組み合わせだ。最強やないか(笑)。

宗教やギリシャ神話にも精通している筆者のこと、
歴史上の詭弁家の事やら、恋愛上の詭弁などを紹介しています。
一番笑えたのは、詭弁をどうやったら学べるかというところ。
そりゃあ~慣れるしかないだろう?詭弁は実践してナンボじゃ~。
すると、ナンパ行為とかが習得の一番近道じゃないか?

いやいやいや、そんな事は無い。
天下のNHKでやっているんです。なんていったかなあ~ほら、日曜日の朝にやってる…。
あ、「日曜討論」とか言ったっけなあ…??(笑)

阿刀田さんは、こんな天の邪鬼的なものを題材にしても憎めないから不思議だ。
詭弁を使うと世の中うまく渡れますよ~という以上に、どうせ詭弁だらけなら、それを楽しまなくっちゃ!
という根本の明るさみたいなのが、文章に表れてる気がします。

誰だって、口説かれる時は真っ正直に、
「君のおなかはタレてるけど、好きだ!」と言われるより、
「抱き心地のよさそうな女の子が、俺好きだな」と言われた方がいいですよね?

本当に、阿刀田さんの本を読んだあとは、こんな感じで人生がちょっぴり楽しくなります。
日曜討論も、斜めから見て楽しんでみたり。広告チラシを見て突っ込みを入れてみたり。
はたまた、自分の営業の仕事に活かして見たり……とここまでは、さすがにまだ習得不足感がいなめませんが…(汗


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恋愛辞典

2008年02月04日 22:24

『寺山修司』著 新風舎文庫 207ページ

最近、アダルティなコメントが増えて困ってるひひです。こんにちは。

先日の話ですが、友人から短歌集を貰いまして、それがまたすごいんですよ。
熟慮の末に、ああいった言葉の芸術が生まれるのか。はたまた、ぱっと瞬間的に浮かんでくるのか。
友人の作品ももちろんそれには掲載されているんですが、
どうも彼女は後者の方らしいです。それにしても皆さんすごいですねえ。

文章にも芸術があるんだなあ…とつくづく思いますよ。
やっぱりね、句読点の打ち方とか、文の切り方とか、全然違う。うん。

この本は貸してもらったもので、詩や短編が中心なんですが、
私のような粗野な人間は、こうパアーーーーっと読み終わってしまう訳です。
文自体が短いんだから、そりゃそうだ。

いやいやいや、読み終わってハッと気づきました。
詩を読むのは、時間をかける方がぐっと心に来るのだと。

寺山さんが「ポケットに恋唄を」の中で、
「言葉に重さはないけど、愛には重さがあるのです」って書いてる通り。
ひとつひとつの文章の中身を味わいながら楽しむべきなんですね。

でも、不思議ですよねえ…。
「愛」のテーマが1つあっても、100人いれば100通りの詩ができるんですから。
寺山さんのは、ちょっともの哀しいのが多いんです。
愛の歌って哀しいものが多い気がしますが、やっぱり詩も同じなんでしょうか?

内容は、そのタイトル通り、恋愛に関するもの。
巻末の解説を借りれば、どのページから開いても心を和ませてくれるそう。
う~ん、懐かしい想いがしたり、大人の恋に憧れる気持ちを感じたり、
受け取る側も、100人いれば100通りの受け止め方があるのだろうなあ…と思いました。

薦めてくれた友人に感謝。いつもありがとう!


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あしながおじさん

2008年02月03日 17:31

『ジーン・ウェブスター』著 松本 恵子 訳 新潮文庫 221ページ

ジョン・グリア孤児院出身のジルーシャ・アボットに、ある日突然、幸福が訪れた。
謎のおじさんがジルーシャに出資して、大学へ行かせてくれるというのです!

そのおじさんは、自分の名前を明かさず、ただジョン・スミスとありふれた名前で呼ぶように指示しました。
おじさんについて分かっている事は3つだけ。
①お金持という事。
②女嫌いという事。(それは今まで出資してきたのが男の子ばかりだったからです)
③あしが長いという事。

彼女が見たおじさんは、孤児院を出て行く時に、車に乗る後姿だけだったのです。
彼女は、おじさんの事を「あしながおじさん」と呼ぶようになりました。
そして、おじさんが唯一ジルーシャに要求した条件は、「月一回、近況を手紙で報告する事」でした。

さあ、素敵な日々が始まりました。お小遣いで自由に物を買える事や、
一人部屋を持てる嬉しさを手紙に綴るジルーシャは、生き生きとしています。
本当に明るい気持ちにさせてくれる手紙です。私はとってもこの少女が好きになりました。

ちょうどその時、仕事で失敗して始末書を書かされていた私は、
その落胆から2、3日抜け出せずにいました。ジルーシャが感情豊かに踊るペン先で、
「私は今を生きます。過去に囚われて悩んでいては、幸せになれませんもの」と語り、
それによって元気づけられたのは言うまでもありません。

「あしながおじさん」は有名な作品ですが、内容を知らなかったのをすごくもったいなく思いました。
イメージって怖いもので、名前も素性も明かさない怪しいおじさんが、「お金が欲しいかそらやるぞ」的に、
幼い少女に近づくのかと思ってました。どんな先入観だ…。
ところがまあ、なんと素晴らしい作品でしょう。おじさんは手紙を要求するといっても返事は全く出さず、
する事といったら病気の時に花束を贈ってくれたり、夏休みに農園で過ごすことを強要したり、
奨学金を受ける資格を断らせたりといった事なんですが、摩訶不思議なおじさんの要求にもめげず、
ジルーシャはすくすく成長し、手紙も大人っぽくなってきます。

卒業後、夢だった作家への道へ踏み出すことになり、そしてついには知り合いの男性に結婚を申し込まれます。
こういう心温まる小説っていいですよね。本当に好きです。
だって、現実の社会生活って小説の世界と比べると、なんてゴミゴミしているんでしょう。
…でも、作品を読んでいると、その息苦しい生活の中にも幸せがある、そういう視点で物事を見よう…と思えます。

ジルーシャはこう言ってます。
「私は孤児院で育ったからこそ、普通の家族がある素晴らしさを人一倍分かる事ができる」と。

素敵ですよね。


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