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坊っちゃん

2008年08月23日 00:44

『夏目漱石』著 角川文庫 173ページ

夏目漱石の作品では一番読まれている方なので、今さら紹介する必要はないかもしれません。
以前、松山へ旅行に行った友人が、名物「坊っちゃん団子」をお土産にくれました。
ははあ、これが坊っちゃんが食べた団子かあ…それにしてもデカいな。
愚直な主人公の性格が滲み出ているような大きさでした。一気に全部食べた日には、胃もたれ必至。

ストーリーは、漱石自身が松山へ教師として一年間赴任したのをモデルに描いている。
主人公の「坊っちゃん」は、江戸っ児をもって任ずる若い教師。
冒頭の書き出しは、その作品全体を形容していて、
「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」とある。
イタズラはするけど、罰は受ける。どこまでも正直で真っすぐな性格だ。

田舎へやってきたはいいけれど、嘘やいつわりに満ちた社会構造に愛想を尽かす。
教頭がその権力をもってして、恋敵を転任させてしまうところだの、
人間関係はドロドロしている割に、作風がコミカルなので笑うシーンが絶えない。
ユーモアと歯切れのいい表現が、爽快で読みやすく、角川文庫なので漢字も易しい。注釈も助かる。

特に興味をそそられたのは、巻末の解説と、作者の紹介。
自分の教師時代の事を書いた小説だと思いがちだが、
漱石自身はまじめで教養があって、学問はどうあるべきかを中学生にも教えるような人間だった。
とても「坊っちゃん」のように、正直だけど少し頼りない教師ではなかったようだ。

日本文学は奥が深いとはよく言ったもので、この作品も単純に見ると面白いが、核になる部分は濃い。
一回読んだだけで、その意図するところが分かるとは思えない。

正直者の坊っちゃんは、最終的には不名誉な誤解を被せられてしまう。
陥れた教頭を「もう許さん」とばかりにボコボコにするが、結局それは自己満足で、
教師を辞めて東京に帰ってしまう。勧善懲悪でもないし、悪く言うと負け犬だ。

物語としては、教頭が女遊びをしていることを世間にバラして、
坊っちゃんの名誉が回復して、正義は貫かれる!という勧善懲悪を期待するが、結末は現実的だ。
それは何故か?漱石がこの時代に感じていたことや、「正義」に対する想いと限界も感じさせる。

笑える作品なだけに、その面白さが前面に押し出されてしまい、肝心の部分が見えてきにくい。
漱石自身もそこは反省しているらしく、「ちっと面白く書きすぎちゃった」的なことを言っている。
しかし、この作家はすごい。読解力を上げるには日本文学が一番いいと思わずにいられない作家だ。


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