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野性の呼び声

2008年05月13日 20:58

『ジャック・ロンドン』著 大石 真 訳 新潮文庫 143ページ

犬の小説を読みたいなあと思い購入。
可愛いという印象はなく、一匹の犬が飼い犬から野生のオオカミの群れへ還っていくまでのお話。

アメリカがゴールドラッシュに湧きかえった頃、犬の存在が注目された。
氷が張った地面を移動する時には、とても人間だけでは行く事が出来ない。
そんな時に必要になったのは犬の力だった。

バックは南国犬である。北の国で育ったエスキモー犬と違い、
体の造りも忍耐力も、初めから犬ぞりに向いていた訳ではなかった。

その犬は、幸か不幸か金持ちの家に生まれ、プライドも高かった。
屋敷の使用人がお金のために内緒でバックを売り飛ばしてしまうまでは。
北へ北へ運ばれたバックは、まず第一に棍棒の掟というものを知った。
棍棒を持った人間には注意せよ。どんなに立ちまわって反抗しようとも無駄である。
この世界は力あるものがすべてだ。狡猾さを持って生きていかなければいけない。
恐るべき速さでバックはアラスカに順応していった。

バックの中に隠されていた遠い祖先の血が、野生の本能を呼び起こし、
生肉を貪り、血を浴びる興奮を思い出させた。
鞭で打たれ、走らされる北国の犬が可哀そうに思えるのは、
私たちが過酷な北国の生活を知らないからだろう。
少ない食糧で最大の力を発揮し、体は頑強に発達する。
狡猾さが生活に必要になり、それが武器になる。
そして、しだいにそりを引くことが誇りになる。

人間が有能であるほど、犬は人間を信頼し、忠誠を誓うようになる。
しかし、無能であれば軽蔑する。そうさせるのは北国の厳しさ故であり、
絆が強く結び付くか、軽薄なものになるか極端に分かれるのだった。
バックはどちらの人間も経験する。

ダイナミックで血が燃えるような小説です。
ヘミングウェイのようにハードボイルドリアリズム的な印象を少し受けましたが、
彼の作品より情にあふれた、(犬でありながら)人間味のある作品です。


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