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カルメン

2008年05月17日 00:32

『プロスペル・メリメ』著 杉 捷夫 訳 岩波文庫 108ページ

なんか、久々の岩波。そういや、最近新潮文庫ばかり読んでましたね。
カルメンという女の名前を聞いた事がない人はいないでしょう。
自由奔放で、恋多きボヘミアの女。男の人生を狂わせ、しまいには殺してしまう女。

クレオパトラの鼻がもう少し高かったら、歴史は変わっていただろう。
これはクレオパトラがもう少し美人だったら、もっと歴史を変える事が出来たという意味です。
しかしこんな反論もあるようで、もともとクレオパトラは鉤鼻で、むしろ鼻が高いのを気にしていたのだとか。
つまり、それ以上鼻が高かったら逆に不細工になってしまい、カエサルやアントニウスを
たぶらかすことはできなかっただろう。歴史は今とは違っていたのではないかという反論だ。
そもそも、彼女は絶世の美女というほどの美人ではなかったとか。
七ヶ国語を操り、会話の切り返しが早く、機転の利く女だったので、そういった魅力で男を虜にしたとかなんとか。

話が脱線してしまった。カルメンに関しても、彼女は絶世の美女という訳ではなかったようだ。
しかし、その発する雰囲気が彼女の魔性の魅力を大いに表していた。
言葉で的確に表現することができないが、スペインのフラメンコに見られるような情熱的な女。
好きになった男の為なら命の危険を顧みず、仕事になると女の武器を大いに利用して、
男以上の働きをしてみせる。束縛を嫌い、生きたいままの感情に任せて生きていく。

これは一人の男の一生を狂わせた女の物語。いや、狂わせられたのは一人ではなかったであろうが…。

ドン・ホセはまっとうな兵士だった。ある日、カルメンシタという女を監獄へ送り届ける際、
女の誘惑に負け、彼女を逃すのを手伝ってしまう。
あの女のせいで、俺の人生はおかしくなってしまった…。
憎しみが湧いたと同時に、彼女にどうしてもまた会いたいという感情も湧いた。

「ほんとにおまえさんはバカだよ、ねえ、カナリアの坊や!」
彼女の姿は鮮明に脳裏に焼き付いて離れようとしない。
それから何度か、彼女に会う機会があったが、それもまた失敗だった。
カルメンが部屋へ戻ってくるのを待っていたある日、ちょうどカルメンがホセの上官を家に連れて帰ってきた。
彼の中で何かが弾け、思わず上官を刺殺してしまい逃げ出したホセ。
なんとか彼女の知り合いの家にかくまってもらったが、これからどうやって生きていけばいいか分からない。
カルメンはそれを見て、「じゃあ、私と密輸入業者になりましょ。なあに、見つからないよ」
としゃあしゃあと答える。

こんな事になった原因の彼女を恨みつつ、これからも一緒にいられる事を喜んでしまうホセ。
アンダーグラウンドの世界へ踏み込んだが、カルメンはその自由さから一向にホセの思い通りにはならない。
なったと思うと、腕からすりぬける。イタチごっこの末に、二人が行き着く人生は…。

この男のためなら、何もかもなげうっていい。
そんな人にはいまだに出会ったことはありませんが、一生のうち何人がそんな異性に出会えるでしょうか。
おそらく数万人に一人でしょう。

職を捨て、人を殺し、憎しみつつも愛さずにはいられない。
現実にはそんな馬鹿なと読者は思うけれど、読んでいるうちにカルメンにはそれができるだろうと、
不思議に共感できてしまうのが、彼女の言葉で表せない魅力なのです。


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