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フランケンシュタイン

2008年08月29日 23:39

『メアリー・シェリー』著 山本 政喜 訳 角川文庫 301ページ

映画の本数は50本以上。突出した傷だらけの顔に、首からボルトが飛び出し、
ぎこちない動きで「アーウー」としゃべる姿がまず思い浮かぶ。
フランケンシュタインは、すでにモンスターの代名詞になっている。

しかし、原作を読んだ人は意外に少ないのではないだろうか?
「フランケンシュタイン」は人造人間を作った科学者の方の名前で、
それが作られた方のモンスターと混同されてしてしまった。

若く才能溢れる科学者フランケンシュタインは、死者を甦らせる研究をしていた。
それはすばらしいことに思われた。動物の死骸をもって肉体を作り、命を吹き込む。
成功すれば、人類の科学に大きく貢献することになるだろう。

しかし、生みだされたものは、世にも恐ろしい怪物だった。
誰もが憎悪を覚える醜悪な顔、巨躯はやすやすと成人男性を締め上げる事が出来る。
フランケンシュタインは生み出した瞬間から、それを憎んだ。

醜く造られてしまったものは、孤独だった。
時には川に溺れそうになった子供の命を助けたりした。
しかし、その親はモンスターを見るなり、危害を加え、奪うように子供を連れて逃げた。
どんなに心優しい人間も、彼を憎まずにはいられなかった。

「かつてはおれの空想も、美徳と名声と歓楽の夢にやわらいだものだ。
 かつてはおれも、おれの外形の醜いことを許して、おれが現すことのできる
 すぐれた特質のために俺を愛する人間に会うという誤った望みを抱いていた」

自分はどうあっても愛される事はない。
どれだけ人を愛そうとも、裏切られる。孤独からは逃れられない。
それを知ったとき、希望は憎悪へ変わった。

原作のモンスターは、愛されたい気持ちを言葉で表現し、泣き、叫ぶことができた。
産みの親に対して、自分と同等の醜さの女性を作り、結婚したいと申し出たこともあった。
しかし、科学者はそれを拒否した。この恐ろしい種族が増える事を恐れたのものあるし、
強暴なモンスターをもう一体世に放つ事が、人類に対する罪と思われたからだ。

最後の望みも退けられた瞬間、彼の復讐は始まった。
科学者フランケンシュタインの親しい友人や身内が、一人また一人殺されていく。
まるで、「お前も孤独を味わえ」と言うかのように。

しかし、モンスターがすべての人を殺したとて、彼の孤独は消え去るのだろうか。
人を絞め殺した時、その悲鳴が心地よい歌声として、彼の耳に響いていたのだろうか。
その答えは、産みの親も死に、本当に一人になった時に見えてくる…。

最後に意外だったのが、作者が女性であったということ。
こういうSFは男性が主流だと思っていたので、驚きでした。
作者のメアリー・シェリーについても、その人生が非常に作品にも影響している。
巻末の紹介が特に参考になるので、そちらを先に読んでから本編に入ると、また変わった見方ができるでしょう。


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