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続 あしながおじさん

2008年10月01日 20:20

『ジーン・ウェブスター』著 松本 恵子 訳 新潮文庫 354ページ

ジョン・グリア孤児院に新しい風が入り込んだ。
前院長のリペット女史がその職から退き、替わりにやってきたのは
ジュディの親友サリー・マクブライドだったのです!

『あしながおじさん』参照↓
http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-62.html

サリーは前主人公ジュディの大学時代の親友。
あしながおじさんこと、ジャーヴィスさんと結婚したジュディは千万長者になりました。
クリスマスプレゼントに夫から貰ったのは、なんと育った孤児院を改造するための莫大な資金。
ジュディはそのお金をサリーに託して、孤児院の院長になってくれるよう依頼したのでした。

さあ、大変な改革が始まりました。
抑圧に慣れた子供達は、無感動でスレた子供ばかり。
いやいやながらも引き受けたサリーは、その醜悪な施設に驚くばかり。
自分には無理!そんな気持ちはしだいに子供たちへの愛情に目覚め、
院長としての誇りが芽生えてきて…。

ウェブスターの素敵な手紙がまた読める!
前作で反響を呼び起こした作者がアンコールに答えて二作目を出版。
今回も笑いあり、事件あり、感動ありのてんこ盛り。
サリーが孤児院で起こったことを、ジュディに手紙で報告する形式です。

一つ一つの手紙を読み終わるたびに、少しずつ変わっていく孤児院が目に浮かぶよう。
漂う孤児院臭を新鮮な空気で吹き飛ばし、食堂を明るい色に塗り替えて、
イモばかり食べていた子供たちの食事の献立を考えて…。
ずっとイモが植えられていた畑には、玉ねぎ、トウモロコシ、トマト、大根、人参、カブが植えられました。
これで孤児たちの成長に大いに役立っていくことでしょう。

物は買うものという概念がなかった子供たちに銀貨を与え、
欲しいものを考えて買わせると、とても誇らしげにそれを自慢してみせるのです。
どうしてこんな小さな天使たちを愛さずにいられましょう!
サリーの目標は、いつのまにか「世界一の模範的な孤児院にする」というものになっていました。

そんな経営を支えてくれていたのが通称「敵さま」。
孤児院のかかりつけのお医者さんで、表情を表に出さないスコットランド気質のマックレイ先生。
いつもむっつりしていて科学的で、理路整然。活発なサリーとはどうも気が合わない。
しかし、子供たちに対する愛情は本物で、サリーが子供のことを一心に考える時は、
不思議とこの医師と意見が合うのでした。

決して恋愛話ではないのですが、孤児院の経営を通していつでも支えてくれる存在にサリーが気がついた時は感動もの。
サリーはもう孤児院から離れられなくなっているので、その仕事に理解を示し、誇りを持ってくれる相手がどれほどありがたいか知れません。

「たとえば私が引退してから結婚して当世の家族並に子供を持つようになったとしても、
 精々五人か六人ぐらいの子供より持てませんし、それがどれもみんな同じ遺伝子体質です。
 だったらそんな家族は、全然無意味で単調でやりきれませんわ!
 あなた方は私をすっかり孤児院化しておしまいになりましたわね。
                                 おうらみ申す、サリー・マクブライド」

どうでしょう、こんなに仕事に誇りを持った素敵な女性を妻にもらおうと思ったら、
余程の覚悟と寛容さがないと難しいと思われませんか?


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あしながおじさん

2008年02月03日 17:31

『ジーン・ウェブスター』著 松本 恵子 訳 新潮文庫 221ページ

ジョン・グリア孤児院出身のジルーシャ・アボットに、ある日突然、幸福が訪れた。
謎のおじさんがジルーシャに出資して、大学へ行かせてくれるというのです!

そのおじさんは、自分の名前を明かさず、ただジョン・スミスとありふれた名前で呼ぶように指示しました。
おじさんについて分かっている事は3つだけ。
①お金持という事。
②女嫌いという事。(それは今まで出資してきたのが男の子ばかりだったからです)
③あしが長いという事。

彼女が見たおじさんは、孤児院を出て行く時に、車に乗る後姿だけだったのです。
彼女は、おじさんの事を「あしながおじさん」と呼ぶようになりました。
そして、おじさんが唯一ジルーシャに要求した条件は、「月一回、近況を手紙で報告する事」でした。

さあ、素敵な日々が始まりました。お小遣いで自由に物を買える事や、
一人部屋を持てる嬉しさを手紙に綴るジルーシャは、生き生きとしています。
本当に明るい気持ちにさせてくれる手紙です。私はとってもこの少女が好きになりました。

ちょうどその時、仕事で失敗して始末書を書かされていた私は、
その落胆から2、3日抜け出せずにいました。ジルーシャが感情豊かに踊るペン先で、
「私は今を生きます。過去に囚われて悩んでいては、幸せになれませんもの」と語り、
それによって元気づけられたのは言うまでもありません。

「あしながおじさん」は有名な作品ですが、内容を知らなかったのをすごくもったいなく思いました。
イメージって怖いもので、名前も素性も明かさない怪しいおじさんが、「お金が欲しいかそらやるぞ」的に、
幼い少女に近づくのかと思ってました。どんな先入観だ…。
ところがまあ、なんと素晴らしい作品でしょう。おじさんは手紙を要求するといっても返事は全く出さず、
する事といったら病気の時に花束を贈ってくれたり、夏休みに農園で過ごすことを強要したり、
奨学金を受ける資格を断らせたりといった事なんですが、摩訶不思議なおじさんの要求にもめげず、
ジルーシャはすくすく成長し、手紙も大人っぽくなってきます。

卒業後、夢だった作家への道へ踏み出すことになり、そしてついには知り合いの男性に結婚を申し込まれます。
こういう心温まる小説っていいですよね。本当に好きです。
だって、現実の社会生活って小説の世界と比べると、なんてゴミゴミしているんでしょう。
…でも、作品を読んでいると、その息苦しい生活の中にも幸せがある、そういう視点で物事を見よう…と思えます。

ジルーシャはこう言ってます。
「私は孤児院で育ったからこそ、普通の家族がある素晴らしさを人一倍分かる事ができる」と。

素敵ですよね。


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