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オズのオズマ姫

2009年10月20日 23:02

ライマン・フランク・ボーム』著 佐藤 高子 訳 ハヤカワ文庫 232ページ

「オズの魔法使い」は、全部で40作もあるシリーズ。
本作は3作目で、2作目では登場しなかったドロシーが主役として戻ってきました。

前作の「オズの虹の国」で、正当な王位継承者オズマ姫がめでたく
オズの国を支配することになりました。今回の舞台はオズの西に広がる、
「死の砂漠」を越えた「エヴの国」。

<あらすじ>
ドロシーは乗っていた船が難破し、漂流した先がこのエヴの国でした。
旅のお供は、おとぎの国に入ってから言葉を話せるようになったメンドリのビリーナ。

ドロシーが訪れたとき、エヴの国は誰も治めていませんでした。
というのも、ノームの王様が女王と10人の子供たちを、自分の宮殿の飾り物に変えていたからです。
そこで、前作のオズマ姫と、かかし、ブリキの木こり、臆病ライオンなどおなじみメンバーと、
今作から登場のロボットのチクタクなどを加え、女王たちを救出に行くのでした。
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1作目の面々がまた出てくれるのは嬉しいですね~。ライオンの出番が少なかったような気もしますが。
前回の紹介で「皮肉を利かせる要素が多い」と紹介したんですが、今回はそうでもなかったかな。
どちらかといえば、純粋におとぎの国を冒険する、わくわく感にあふれた場面が多かったです。
ちなみに、2作目で美少女軍団を率いてオズの国を占拠した、ジンジャーも出てきますが、
今では奥さんになってダンナを尻に敷き、それなりに幸せそうです(笑)。

ノーム王から、どの飾り物がエヴの人々か当てられるか…という賭けを持ちかけられるんですが、
間違ってしまうと飾り物の一つになってしまう…という恐ろしい条件付き(笑)。
おとぎの国ならではの、子供が好きそうだなあ~と思える内容満載です。

ところで、巻末にオズシリーズの人気投票結果が載っていたんですが、293名の集計結果で
1位・「オズの魔法使い」、2位・「オズのオズマ姫」、3位・「オズの虹の国」だそうです。
こう見ると、ファンダジー色が強い順番に並んでいるように感じますね。
オズは哲学的なところも多いにあると思うので、そういう視点で斜めから
作品を読んだら、皮肉のスパイスが効きすぎの「オズの虹の国」が一番です(笑)。

さて、日本で翻訳されているのは40作品のうちハヤカワ文庫は14作です。
原作の発表順に翻訳がされていないのか、次は6作目の「オズのエメラルドの都」です。
4作目の「オズと不思議な地下の国」も翻訳されてますので、いずれはそちらも読んでみるつもりです。


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オズの虹の国

2009年10月03日 08:05

ライマン・フランク・ボーム』著 佐藤 高子 訳 ハヤカワ文庫 257ページ

「オズの魔法使い」の続編。作者がファンの子供たちから、
「もっと書いて!」という要望を受けて書いたものです。

<あらすじ>
ドロシーがカンザスへ帰ってしまった後のオズの国。
エメラルドの都は、かかしが王様となり、西のウィンキーの国はブリキの木こりが治めていました。
主人公は、チップという少年。意地悪ばあさんな魔術師のモンビに育てられましたが、
ある日、変身の術で大理石の像に変えられそうになったチップは家出をします。

魔法の粉で命を与えられた、かぼちゃ頭のジャックと、木挽き台と共にエメラルドの都を目指します。
途中、今しもエメラルドの都を奪うために反乱を起こそうとしている美少女軍団に出会います。
彼女たちは、手に手に鋭くとがった「編み棒」を武器として持ち、将軍のジンジャーという女の子のもと、
都のエメラルドを自分たちのものにしようと企んでいたのです!

はたして革命は成功し、かかしは王国から逃げ出します。
チップはかかしと一緒にブリキの木こりがいる西の国へ赴き、応援を求めます。
ジンジャーはモンビを味方につけて、何かとチップたちの邪魔をしますが、ことごとく失敗。
一度は彼らもエメラルドの都の奪還に成功しますが、今度は少女たちは城を取り囲み、兵糧攻め。

再び、城から脱出するために、魔法の粉で空飛ぶ乗り物のガンプを作ったチップ。
南のよい魔女グリンダに協力を仰ごうと空を飛んでいきます。
話を聞いたグリンダは了承し、もともとオズが治める前からの正当な王位継承者である、
オズマ姫を探し出して、その地位につけることを提案します。

オズマ姫は、その昔にオズがエメラルドの都を奪った時、
どこかに隠されてしまったのでした。その秘密をモンビが知っているようなのですが…。

ジンジャーは攻めてきた軍勢を見て、「こんな編み棒が、何になるの!」とビックリ仰天。
モンビは囚われの身となり、オズマ姫についての真相を語り始めます…。
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日本で翻訳されている14作品の、まだ序章ですね。これを書いた後に、ファンの子供たちからは、
「ドロシーはどこに行ったの?」(カンザスに帰ったんだヨ!)と質問が相次ぎ、
3作目からは再びドロシーが主人公として、活躍するんだとか(笑)。

前回も「哲学的な小説」という見方で紹介をしましたが、今回はさらにその上をいくレベルに感じます。
というのも、皮肉を利かせる要素が多く、当時の時代背景を揶揄した部分が多く見られるからです。
子供の要求にこたえて…という割には、大人も深読みできるオールマイティな作品に仕上がってます。

時代背景とすれば、婦人参政権運動があるらしいです。なるほどな、と思います。
そもそも、美少女軍団の武器が「編み棒」ですよ。軍勢が攻めてきて「こんな編み棒で何ができるの!」と
将軍ジンジャーは叫びますが、「編み棒」ですからね、大したことはできません。
また、革命のおかげで、女性優位になり、男たちが子育てや料理をするようになるのですが、
最後にジンジャーが失脚して、国が元に戻ると、女たちは男の作る料理に飽き飽きしていたので、
革命が終わったのを喜んだ…という結末。皮肉、利かせ過ぎですね。

最後の「え!」と驚くドンデン返しも、意表を突かれます。
「オズの魔法使い」に並んで、もっとたくさんの人に読まれてもイイと思う、良い作品だと思います。


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オズの魔法使い

2008年10月26日 00:03

『ライマン・フランク・バーム』著 松村 達雄 訳 講談社文庫 243ページ

童話の名作。絵本では堪能できないエピソードも収録して堂々の243ページ。
実は続編があって、実に全部で14冊にもなるんですって!ビックリ。
折角小説でちゃんと読んだので、教訓的な側面から今回はオズを紹介しましょう。

カンザスに住んでいたドロシーが竜巻で家ごと飛ばされ、オズの国にやってきた。
脳みそが欲しいかかし、心が欲しいブリキの木こり、勇気が欲しいおくびょうもののライオン、
そして子犬のトートー。みんなで連れ立って願いをかなえてもらうためにオズ大王に会いにいく。

作者のバームはこの作品についてこう言っている。
「もっともらしい教訓、お説教などは抜きにしたような童話もあってよいのではないか。
 今の子供達は教訓などというものは学校で教わるのだから、ただもう存分に楽しませてくれるような、
 あっと驚かせてくれる、不思議なお話を求めているのだ。
 そこには不愉快な出来事などはあらわれなくてよいのである」

なるほど、絵本で見る限り教訓的な部分は随分省かれてしまったなと感じる。
けれど、原作ははたしてそうは思えない。作者が意図したかしないかに関わらず、
充分に哲学的な内容を含んでいるし、ドロシーの成長は教訓的だ。

例えばかかしとブリキの木こりの対話。
脳みそが欲しいかかしは、木こりが心を欲しがっているのを聞いて、
「だって、脳みそがないと心を持ってても使い方が分からないじゃないか」と言う。
木こりはそれに対して反論する。
「いや、やっぱり心がいいよ。脳みそだけじゃ幸せになれない。世の中で幸せほど大切なものはない」
フーン…難しいテーマでありますなぁ。

ドロシーはそんなことどうでもよくて、とにかくカンザスへ帰りたい。
「そんなのどっちでもいいわ」と、内心思う。
しかし、いざオズにかかしが脳みそをもらう段になると、
「あたしは、もとのままのあんたが、いつも好きだったのよ」とくる。
最後にはこの仲間達がかなえたそれぞれの願いを、心から喜ぶことができる。

よくよく考えてみると、皮肉が効いた小説だなあとも思う。
オズに願いをかなえてもらうまでに、ドロシーたちは沢山危険な目にあう。
しかし、困難にぶつかった時に何かいい知恵を絞りだすのは、脳みそのないかかしだったし、
悲しい事があって涙を流すのは、心のないブリキの木こりだった。
恐ろしい事があって足がすくむ時に勇気をだして立ち向かったのは、おくびょうもののライオン。
それでも皆、やっぱり自分の事をダメなヤツだと思っている。
オズがそれぞれに欲しいものを与えた時、まるで生まれ変わったように自分に自信を持つ事が出来る。

何か明確な形を取らないと、自信をつけれない心理を皮肉っているのか。
それとも、そういったものは誰しも生きる上で持っているのだから、自信を持てという事なのか。
いや、両方を示唆しているのでしょうね、きっと。


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