スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

片恋・ファウスト

2009年04月19日 23:00

『ツルゲーネフ』著 米川 正夫 訳 新潮文庫 174ページ

「はつ恋」以来のツルゲーネフ。
悲恋作家のイメージが強いですが、もっと重いテーマが多いロシア作家の中では、
まあ普通の重さくらいでしょうか。他がヘビーすぎるんでしょうね。

「はつ恋」→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-167.html

タイトルからして惹かれる「ファウスト」は、その名の通りゲーテの「ファウスト」を
題材にとりいれたもので、今まで読んだツルゲーネフの中ではダントツ1番面白かったです。

完成された理論のもと育ってきたヴェーラは詩や小説を読むことを
母親から固く禁じられていた。夫を持ち子供が生れ、母親が死去した後も、
その戒めを破ることなく守っていたが、ある日遠い昔に彼女に求婚したことのある「僕」に再会する。

この物語は「僕」がヴェーラに再び会い、その後の経過を語る手紙形式で進んでいく。
彼女が今まで「詩」を読んだことがないことに驚いた「僕」は、ゲーテの「ファウスト」を朗読して聞かせる。
ヴェーラはひどく戦慄を受け、次第に文学の世界へ落ちていく。

しかし、文学の世界とは、それすなわち愛欲の世界を知ることに他ならなかったのである。
「ファウスト」を読んだことのある人なら、グレートヒェンをご存じと思いますが、
悪魔メフィストの力によって若返ったファウスト博士が恋をする相手がグレートヒェンだ。
しかしその恋は、婚前交渉と嬰児殺しの罪でグレートヒェンが死罪になるという結末に終わる。

ヴェーラは「僕」を愛し始める。しかし、それは自分にもともとあった純潔な規律には相反するものだった。

…と、ここまで書いてしまうと結論が見え見えですね。申し訳ありません。
この「ファウスト」のストーリーとのからみが、すごく気に入ったので書かずにおれませんでした。
ツルゲーネフの人間考察が、ゲーテを土台にして語られる…という点が面白い。
ロシア作家の中では印象が薄いですが、自然の描写とかは結構イケてると思うのですが、なぜでしょうか…。

また「ファウスト」も読みたくなってきました…。ここ最近、昔読んだ本をまた読みたくなるという
回帰現象が自分の中で起こっています。ブログを始める前に読んでいた本も、
面白かったものがあれば、また紹介していきたいものです。


参考になった!という方はゼヒ押してくださいッ →  にほんブログ村 本ブログへ

スポンサーサイト

はつ恋

2008年10月05日 21:41

『イワン・ツルゲーネフ』著 神西 清 訳 新潮文庫 137ページ

やっとロシア名にも抵抗がなくなってきました。
ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフなどの有名すぎる作家が多いせいか、
ちょっと目立たないイメージがありますね。

ロシア作家というのは人間観察が得意なんでしょうか。
決して派手な話は書かないのですが、人間の心理を書きだす技術というのは素晴らしいと思います。
ロシアという土地柄、寒くてじっとしてるかわりに、人間観察ばかりしてたとか…そんな訳ないか。
この技術に関してはツルゲーネフもしかり。

ある夜、男が三人集まって、それぞれの初恋の話を始めた。
その中の一人の男が語った話はこうだった。

ウラジーミル青年は16歳のころ、別荘で零落した公爵家の年上の令嬢ジナイーダと出会った。
彼女には何人もの男が集まっていて、いわば彼もその一人に加えられた形だった。
しかし、ウラジーミルは彼女に恋をした。
気も狂わんばかりの日々を迎えるが、ある夜、ジナイーダのところへ忍んで行く父親の姿を目撃する…。

公爵令嬢ともあろうものが、結婚相手に事欠かない身でありながら…一体その先に何があるというのだろう。
みすみす自分の前途を台無しにするのが恐ろしくなかったのだろうか。
ウラジーミルはそこで気がつく。

…そうか…これが恋なのだ。

初恋。すべてが正当化されるようなあの興奮から、一つ大人になるあきらめにも似たあの段階の感情が
表現されている作品だと思います。たしかに…正直言ってしまうとドフトエフスキーやトルストイからは一歩下がった感じ。
逆にいえば、時代背景などの難しい部分を省いて読めるので、
ロシア文学をお手軽に軽く読みたい、雰囲気をつかみたいという方ならとっつきやすいかもしれません。


参考になった!という方はゼヒ押してくださいッ →  にほんブログ村 本ブログへ




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。