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ファウスト 第二部

2009年09月07日 23:54

『ゲーテ』著 池内 紀 訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ 493ページ

第一部から相当レベルが変わって、展開される第二部。
やっぱり、というかさすがゲーテ。難しいっ!
59歳に第一部が刊行、第二部に本格的に取り組んだのが76歳。
第二部の完成が死の直前だったことを考えたら、まさに人生をかけて描いた作品ですね。

<第二部あらすじ>
愛するグレートヒェンが死んだあと、「気持ちのいい高み」で目を覚まし、自責の念から立ち直るファウスト。
第一部では「愛」について経験したが、「時よとどまれ」とメフィストに言わしめることはできなかった。
第二部では皇帝が財政難に悩み、メフィストとファウストによる、新しい資金調達の手法が取り入れられる。
さらに皇帝はファウストに絶世の美女ヘレナ(トロイア戦争のきっかけとなったスパルタの王妃)を所望する。
この世に召喚したヘレナに心を奪われた(またか!)ファウスト、二人の間にできた子供オイフォリオン。
時間と場面は目まぐるしく入れ替わり、神話の神々、妖怪のオンパレード。

ここらへんが、原文とかで読むと「何が何だか分からない」罠に陥る難しい場面なんだとか。
火と水の原理、命を求める人造人間ホムンクルスなど、ゲーテさんの次元が違う思考が伺えます。

最後には、海辺の干拓事業に携わるファウストが、自分の墓穴を掘る音を
干拓作業の音だと勘違いし、感動して「時よ、どとまれ」と言ってしまう。
メフィストは約束通り魂をいただこうとするが、天使と「かってグレートヒェンと呼ばれた女」によって、
ファウストの魂は救われるのだった。
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翻訳者の池内氏曰く、
「ある程度の才気と、そして熟達した詩の技巧があれば、第一部は誰にでも書ける。
 しかし、第二部はひとりゲーテにしか書けなかった」
「第一部が「人間つまり小宇宙」の悲劇とすると、第二部は「世界つまり大宇宙」をめぐるドラマである」
と、これぐらい違うんだとか。

一般人には、第一部は「流れがあって読みやすい」、第二部は「場面があちこち入れ替わってややこしい」
という簡単な認識しかないけれど。池内訳はかなり簡単に書いてくれてるので、流れがつかみやすい。
では、具体的にどう高度なのか、そこのところを突っ込まれると、これが非常に難しい。
技巧もそうなんだろうけど、日本語でどこまで分かるものなのか…。
だた、愛する者のため…という個人的なスケールから、国家の財務局長などを経験した
ゲーテが考える金銭、権力、名誉などに対する哲学の重さは随分と変化してる。

ギリシア神話もふんだんに用いられていて、個人的に好きなのは「イカロスの墜落」を模した、
ファウストの子供、オイフォリオンが死ぬ場面。ブリューゲルの絵を思い出しますね~。
リンク先は「サルヴァスタイル美術館」様より勝手に拝借させて頂きました。かなりステキサイト様ですッ!

なんだか、訳の分からない紹介になってしまった。いつもながら反省…。
でも、ゲーテ!うわ、重そう!なんてことは全然ないですよ。
本人も気さくな人だったし(←何様)!こんな私でも楽しんで読みましたから。


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ファウスト 第一部

2009年08月24日 20:01

『ゲーテ』著 池内 紀 訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ 358ページ

<あらすじ>
あらゆる学問を極めつくしたファウスト博士。しかし、結局のところ、
「何も知ることができない」事が分かって絶望する。

悪魔メフィストフェレスは彼に近づき、血の契約を交わす。
「時よとどまれ、おまえは実に美しい!」という言葉をファウストが言えば、
ただちに魂は奪い取られてしまうが、その間は地上の快楽を味わいつくせるというものだった。

魔女の霊薬により20代に若返った(もとは50代)ファウストは、
マルガレーテ(グレートヒェン)を見そめ、恋に落ちる。
恋は成就したものの、彼女の母親の死、兄の殺害、
そして気が狂ったマルガレーテの赤子殺しが行われ、
マルガレーテの処刑が行われるところで第一部は終幕する。
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いまさらですが「ファウスト」。ゲーテが80年の生涯をかけて手掛けた作品。
もともとのファウストは、実在した錬金術師で、悪魔と手を結んで力を得たが、
最後は壮絶なクライマックスを迎えるというオリジナルがある。

キリスト教三大文学の一つに数えられる「ファウスト」は、
その名著ゆえに、どの訳で読んだらいいか迷いますね。
日本では森鴎外が訳していますが、非常に難解。
現在出版されている中で、この池内訳が一番簡単です。
本来は詩体であったのを、散文にすることで作者の伝えたかった事を
明確、かつ分かりやすく読む側に教えてくれる。注釈も親切。
逆に、原典をご存じの方、ゲーテの深遠な思想を理解したいかたには、物足りないかも。

プラスして言えば、解説がかなり良い。
同時代に生まれた金融王ロスチャイルドとの比較は興味深い。
一幕ごとに、どういう進行なのかポイントを伝える場幕説明も、初心者には嬉しい。
絵については意見の分かれるところ。好きな方には、山本容子さんの絵本「ファウスト」なんてのも。
手塚治虫の「ファウスト」も有名ですね。

第一部では、愛の極みは刹那に終わるということを知ったファウスト。
死の一年前に完成したといわれる第二部では、さらに物語は複雑になる。
純粋にまた読みたいと思える作品であり、読むほどに感銘を受ける作品。


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ヘルマンとドロテーア

2009年06月29日 23:19

『ゲーテ』著 国松 孝二 訳 新潮文庫 112ページ

久々のゲーテ。思えば読書にはまりだした当初、
ギリシア神話に傾倒していたためか、「ファウスト」が異常に面白くて、
メフィストと若返って恋に夢中なファウストとのやり取りが楽しかった…。

そして雰囲気は変わって「ウェルテル」。あれもイイ。
あの作品を読んだのと読んでないのとでは、
ゲーテの印象が全く違ってくるでしょうね。

今回の作品は、今までの「悲恋」とは打って変わって、
苦しい革命のさなか、希望に満ちた男女の愛が牧歌的に描かれます。

原題になったのは、1731年にあった実際の事件。
ある金持ちの息子が、プロテスタントの避難民女性に恋をし、
女中として雇うという名目で、家に連れて帰ってきた。
やがて、息子は本当のことを打ち明け、二人は結ばれるという話。

純粋な青年ヘルマンは、フランス革命によって住所を追われた避難民へ施しをしに赴く。
そして、その中から美しく気丈で、誇り高い娘ドロテーアを見出す。
父親は元来、金銭的に見栄を張るところがあった為、
持参金も持たない避難民の娘に対して訝しがるが、反対に優しい母親は、
息子の悩みを聞いてやり、そして父親との仲介役を務めてくれる。

最終的に二人は結婚することになり、話としては単純と言えば単純。
しかし物語の中に、格言が散りばめられている。
派手さはないのに、やっぱりゲーテはさすがだなあと思わせる。
登場人物一人一人がとても良く、その中でもドロテーアと母親がすこぶる魅力的だ。

女性…これが一つのキーワードになっている。
母親の像は、ゲーテが愛してやまなかった母親がモチーフになっているし、
また、ドロテーアは「ウェルテル」に登場したロッテを思い起こさせる。
ゲーテの中で美しく誇り高い女性は、こんな理想像だったのかな?
というのが、いくつかの作品を見てると共通点が感じられる。

話の流れも、翻訳も非常に読みやすい。
基本的にゲーテは難産のイメージが強い作家で、
この作品も熟慮を重ねた上での完成だったようです。
そのせいか、文章が美しい、無駄がない。

予備知識が要らないので、ゲーテの入門としては入りやすいのでは。
それぞれの歌章にタイトルが付き、女神の名前になっているけれど、
注釈があるので知らない人でも問題なしです。


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ゲーテ格言集

2008年07月23日 23:32

『ゲーテ』 高橋 健二 編訳 新潮文庫 212ページ

ファウスト、若きウェルテルの悩みなど、偉大な作家であり、詩人でもあるゲーテ。
今日引用される言葉の中には、彼が残した作品や手紙からとったものも多い。

私が大学の頃に、先輩から聞いた言葉、「急がずに、だが休まずに」。
試験勉強でてんやわんやだった私に、この言葉は大いに助けになりました。
弟子がゲーテの82歳の誕生日に送った印形に刻まれていた言葉だったそうですが、
この本を読んで初めて知ることができました。

ゲーテは作家であるとともに、詩人でもあると述べたけれど、
さらに科学や自然、色彩研究などにも精通していたとされる。
本書はそんな多彩にわたる彼の格言を、カテゴリー別に掲載している。
私としては、カテゴリーではなく、それが書かれた年代順に並べていて欲しかったというのが正直なところ。
多彩にわたるゲーテの才能を、年代順という並びにしてしまうと、煩雑になってしまうかもしれないが、
彼が残した格言が、経験した者しか語ることのできない言葉であるからこそ、
恋愛、仕事、人生観などを、順を追って感じてみたかったのだ。

しばしば、ゲーテは正反対の事を述べている。それは、心境の変化だったのか、
それとも文面では読み切れない、奥深い考えがあっての事なのか、それは分からない。
しかし、ミーハーな若かりし頃を諌めるような詩が書かれていたり、
晩年には、お爺さんが若い人へ教訓を垂れるような詩になっていたりする。

過ちは誰にでもあるから、大いに間違うといいよ。
そんな風に優しく、厳しく伝える姿勢が励みになる。

『人は少ししか知らぬ場合にのみ、知っているなどと言えるのです。
 多く知るにつれ、次第に疑いが生じてくるものです』

『願望したものを持っていると思いこんでいるときほど、
 願望から遠ざかっている事はない』

『物の分った賢明な人々が、老年になって学問を軽んずるとしたら、
 それは彼らが学問と自身とに要求するところが多すぎたからである』

こういう詩を考えつく人は、一体どういう人なんだろうと思う。
そうなると、自然にゲーテの一生にまず興味がわく。
ここでそれを語る必要はないので省略するけれど、
少なからず、若かりし頃の抑えきれない情熱、反発、間違いがあった人生だったようだ。
人と大きくかけ離れた人生ではない。

天才ゲーテといわれる人の、人間味溢れる人生を見たとき、
なんだか嬉しくなってしまうのは、私だけだろうか。
ゲーテを少し知りたい、そんな方にお薦めの一冊です。


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若きウェルテルの悩み

2007年10月16日 23:24

『ゲーテ』著 竹山 道雄 訳 岩波文庫 213ページ

ゲーテはいう。
「もし、生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような、
時期がないなら、その人は不幸だ」と。

「若きウェルテルの悩み」が1774年に出版されたとき、
異常なセンセーションが引き起こされた。
自殺を論じ、考え、実行するものが現れた。
離婚が流行し、出版は禁止された。

ウェルテルが恋をした相手、ロッテにはすでに許婚がいた。
決して迎えることのない愛の結末に、ウェルテルは悩む。

言ってしまえば、ありがち…な話である。
ただ、思い出すものがある。なにか…青い、そう、すっぱい思い出が。

そんなに熟女という年齢でもないと思っている私だが、
ウェルテルを読んだ時に、ふと頭によぎったのは高校時代のこと。。。
「この人がいなければ生きていけない」。
愚かな勘違い、嫉妬、恋は盲目という言葉がまさに、それ。
今では失笑してしまうような、若い時の思い出。

ウェルテルには、嫉妬を一度でも経験したことがあるなら、
目の奥を熱くさせるものがある。

内容は手紙形式の語り口調で進行していくが、
これはゲーテ自身が経験した恋愛に基づいている。
愛するロッテへの訴えるような手紙。

「三人のうち、一人が去らねばならぬ。
 ならば、私がその一人になろう!
 この引き裂かれた心の中を、徘徊した考えがありました。
 殺そうというのです、あなたの夫を、あなたを、私を!
 だからもう、やむをえない!!」

ウェルテルに続くように、自殺を図った青年がいたことも頷ける。

自殺に関して、作中でウェルテルとロッテの許婚のアルベルトが議論をする場面がある。
「自殺は一番罪深い。弱い者の選択だ」と主張するアルベルト。反論するウェルテル。
はたして、自殺は理論で推し量れるものなのだろうか?
ただ言えることは、実際にウェルテルを読んで、
自殺をした青年たちがいた、という事だろう。


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