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銀河鉄道の夜

2009年02月05日 23:43

『宮沢賢治』著 角川文庫 281ページ

宮沢賢治の作品は、こんなに未完のが多いのだなあと驚きました。
というか、「銀河鉄道の夜」が未完だということを知らなかった…。

収録作品は以下の11作で、すべて未完成のもの。
・おきなぐさ            ・めくらぶどうと虹
・双子の星             ・貝の火
・よだかの星(ぶとしぎ)     ・四又の百合
・雁の童子            ・ひかりの素足
・虹の絵具皿(十力の金剛石) ・黄色のトマト
・銀河鉄道の夜

なんか今回は星の話が多かった気がします。
中学校か高校の時に、教科書に「よだかの星」が載っていましたが、
その当時は内容がよくわかりませんでした。
今読むとすごくいい作品だなあと思います。
生き物が生まれること、死ぬことの意味を考えさせられます。

基本的に宮沢賢治の作品では、心の美しいものが星になるというのが
ビヘイビアなのかなと思います。ただ美しいというのではなくて、
悩んだり、悲しんだり、後悔したりという心の葛藤をいうんですが。
テーマは重いし、作風は絵本的だから余計に胸が締め付けられるような気持ちになるというか…。

逆にはっきりと「~は~である!」と示唆される作風でこの味は出せないでしょうね。
万人が楽しめる絵本的作品。読む時期によって感じるところも変わっていく…。
そんな作品群なんだろうと思います。

銀河鉄道の夜は原稿が途中何枚か抜けていて、一番気になる
ジョバンニとカムパネルラが銀河を駆ける列車に乗った瞬間が分からない。
気がついたら銀河鉄道の車窓にいた…てな感じ。
正直、私の想像力では幼稚すぎて幻想的な世界が満喫できませんでした。残念。

面白かったのは「貝の火」。完成度も高くて、読みやすい。
示唆するところはハッキリと分からないのですが、
話の流れといい、結末といい、印象に残る作品でした。


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注文の多い料理店

2008年10月03日 18:35

『宮沢賢治』著 新潮文庫 358ページ

今回は宮沢賢治のイーハトヴ童話「注文の多い料理店」の全話と他10作を集録した本へ挑戦。

・イーハトヴ童話収録作品       ・ その他10作
  序                       雪渡り
  どんぐりと山猫               ざしき童子のはなし
  狼森と笊森、盗森             さるのこしかけ
  注文の多い料理店            気のいい火山弾
  鳥の北斗七星               ひかりの素足
  水仙月の四日               茨海小学校
  山男の四月                 おきなぐさ
  かしわばやしの夜             土神ときつね
  月夜のでんしんばしら           楢ノ木大学士の野宿
  鹿踊りのはじまり             なめとこ山の熊

だいたい年代順に並べられているけれど、どれも甲乙付け難い。
評論家でないなら、これが一番!という作品は読み手で大きく異なると思う。

どれも20ページ前後で終わるため、読むのに区切りやすい。
しかし、話は短くても、その初めの数行で宮沢ワールドへ取り込む手法はさすが。
たちまちその世界が目に浮かぶのです。

「そのとき西のぎらぎらのちぢれた家のあいだから、夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、
すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました」
                                      (鹿踊りのはじまり 冒頭部分)

私たちが雄大な自然を前にしたとき感じるあの恍惚感。
アドレナリンが大量に出ている時に、宮沢賢治のペンが動いたのでしょうか?

「ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風の中に、
ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです」
                                            (イーハトヴ童話 序)

「鹿踊りのはじまり」で、主人公の嘉十は、鹿たちがぐるぐる踊る輪の中に我を忘れて飛び込んでいってしまいます。
本当は誰しもこんな心を持っているのかもしれません。
アーティストは芸術を表現するときに、「ここはジャーンって感じ」と、曖昧な言葉で言いますが、
それは仕方のないことなのかもしれません。
宮沢賢治も独特な擬態語・擬音語でできる限りありのままを表現しようとしたのではないでしょうか。
伝えにくくもどかしい、しかしすばらしい自然や動物たちを。


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セロ弾きのゴーシュ・グスコーブドリの伝記

2007年11月01日 22:16

『宮沢賢治』著 角川文庫 281ページ

名前は有名な割に、意外と内容を知らない宮沢賢治の作品。
掲載されている話は以下の通り。

・雪渡り
・やまなし
・氷河鼠の毛皮
・シグナルとシグナレス
・オッペルと象
・ざしき童子のはなし
・猫の事務所
・北守将軍と三人兄弟の医者
・グスコーブドリの伝記
・ありときのこ
・セロ弾きのゴーシュ
・ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
・ペンネンノルデはいまはいないよ
 太陽にできた黒い刺をとりに行ったよ

これは、発表順に並んでいるのだけど、
猫の事務所あたりからは、素人の私が読んでても、
そのストーリー展開の読みやすさ、完成度の高さがなんとなくわかる。

とくに、物語の世界観、視点の面白さがただの童話と一線を画していると思う。
北守将軍と三人兄弟の医者では、その名の通り三人の医者が出てくるのだが、
一人は人間の医者、一人は動物の医者、一人は植物の医者。

植物の医者って…今で言う肥料開発者みたいなものなのか??

現実的な視点はさておき、ソンバーユーという将軍が、長い遠征から国に帰ってきた。
けれども長い砂漠での生活で、体は異常をきたしまくり。
国に帰る前に、とにかく何とかせにゃいかん!
という訳で、有名な三人兄弟の医者に診てもらうことにする。

また面白いのがそのかかっている病気で、
「100+100はいくらですか?」の計算ができない。
それに長年馬上の生活をしていたので、体が鞍から離れないし、
体には無数にわけのわからない草が生えてきてる始末。

一人目の先生は、将軍の病気を治し、
二人目の先生は、馬の病気を治し、
三人目の先生は、体の植物を取り除く。

将軍はよろこんで、めでたしめでたし。

私のこんな書き方では、おもしろさの数パーセントも伝えれないのだが、
宮沢賢治の独創的な擬態語、擬音語が心地よく響いてくる。

他の作品の中で、きのこが生えてくる擬態語の中に、
「どってこ、どってこ」というのがあったけれど、数年前に読んだのに、
いまだに忘れられない。ペンネンネンネンネン・ネネムの名前も、
きっとしばらく、いや、もしかしたら数年は忘れられないかもしれない。

それに、この独創的な物語の展開。
本当、日本が誇る作家なのだなあ、と実感しますね。


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